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2014年10月号

アベノミクスの バブル変容への条件

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生

バブル世代の持つ経済力

「バブルとは、楽しかったけれど、もう二度と来ない時代のこと」

ある年齢以上の世代には、こうした言葉がきっと心に響くことだろう。今も、バブル時代に流行した文化・風俗、そして消費スタイルを懐かしむ人々は多い。

2013年のテレビドラマは、当たり年だった。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』と、TBS系列の池井戸潤氏の小説がドラマ化された『半沢直樹』は、ともにバブルが伏線だ。

『あまちゃん』では、小泉今日子が演じる主人公の母親が、今は平凡に暮らしていても、バブル時代の熱い思い出を胸の内に秘めていた。一方、『半沢直樹』は、原作本が『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』とまさにバブル世代が主人公。あの頃を記憶している人々には、高視聴率の数字以上に、ドラマの内容に強い共感と郷愁があったようだ。

なぜ、今、バブル世代の心理がこれほど注目を集めるのだろうか。筆者は、経済分析を主業とするエコノミストだから、その立場から、バブル世代が取り上げられやすい経済的背景を語ってみたい。

人を踊らせても、景気を踊らせられるか、安倍総理。

まず、定義のところをしっかり説明すると、バブル世代とは85〜92年頃に就職した人々を指す。生年では65〜69年がバブル世代(コア・バブル世代)だといわれる。もっと広い範囲で60〜70年生まれの人(広義バブル世代=新人類という呼称もある)を指すこともある。彼らは2014年時点で、コア・バブル世代が45〜50歳、広義バブル世代が44〜54歳である。

実は、日本の消費市場において、ここ数年、コア・バブル世代にあたる40歳代後半の人々がボリューム・ゾーンになっている。もともと就労者数が多い年代の彼らが、年齢とともに高い年収を得るようになり、その購買力を背景に、バブルの思い出がビジネスチャンスとなりやすい素地をつくっているというのが、筆者の仮説である。

90ページのグラフ1を見ると、消費額そのものではなく、40歳代後半の人が受け取っている給与総額に注目して、彼らの給与受取額が年齢別の給与受取額の中で特に大きくなっているのがわかるだろう。とくに、大企業の大卒に限った給与受取額は、40歳以上になると、急激に多くなっている。

2014年10月号 目次

特集ーマツダの底力
トヨタの恐れる マツダのエンジン革命
スカイアクティブを生んだ マツダの「モノ造り革新」
持たないがゆえの工夫 マツダ技術陣が追求した効率性
企業価値が高騰 マツダ争奪戦が始まった
ヨーロッパで高評価を受ける理由
市民球団広島東洋カープと マツダ創業家一族の関係
第2特集−今再びのディスコブーム
バブル世代は消費の牽引役
ディスコブームの変遷とリアル80'sの素性
バブルにするか、しないかは これからの6年間で決まる
風営法改正
アベノミクスの バブル変容への条件
レポート
Tモバイル買収断念! ソフトバンク「米国進出の前途」
参入続々でヒートアップ 格安スマホ市場争奪戦
インタビュー
薬のクチコミで注目を集める医師専門のソーシャルサイト
連載企画
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