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2015年09月号

カルピスと完全統合へ 3位アサヒ、かく戦う

岸上克彦 アサヒ飲料社長

きしがみ・かつひこ 1954年1月1日生まれ。76年立教大学経済学部卒。同年カルピス食品工業(現・カルピス)入社。99年東京支店次長、2003年ストレート飲料事業部長、05年執行役員となり、08年常務執行役員、13年取締役専務執行役員、同年アサヒ飲料常務取締役、2015年3月末より現職。カルピス社長も兼務。

商戦が最盛期にある清涼飲料業界。が、この市場も昨年、5年ぶりに販売数量がマイナスとなり、サバイバル合戦は一層激しさを増している。そこで、コカ・コーラグループ、サントリー食品インターナショナルの上位2社を追う、アサヒ飲料社長の岸上克彦氏(カルピス社長も兼務)に今後の戦い方や差別化戦略などを中心に聞いた。

「ストロング・ナンバー2に入る商品を増やしたい」と岸上氏。

大塚と相互商品供給も

〔今年、飲料業界ではサントリー食品インターナショナルによる、JTの自動販売機事業買収が大きな話題になった。買収金額で約1500億円だが、3年前、アサヒグループホールディングスがカルピスを買収すると発表した際は約1000億円。だが、こちらは企業丸ごと買収だったことに照らせば、サントリーが大勝負に出た感は誰しもが持つ。

では、そもそも自販機ビジネスの現状はどうなのか。飲料メーカーにとって自販機事業が大事なのは理解できるものの、昔と違っていまは街中に網の目のようにコンビニが点在している時代だ。実際、飲料を販売チャネル別に見ると、20年前の1995年はまだ自販機が50%近くを占めていたのに、以降、ほぼ一貫してその比率が落ち、現在は約30%。ただ、コンビニも2002年ごろまでは右肩上がりだったものの、20%を超えてからは伸び悩んでいる。

一方で、20年前は18%ほどだったスーパーが一貫して伸び、いまは35%を超える最大のチャネルになっている。自販機やコンビニは定価販売が基本で、メーカー側には値崩れしない貴重な販売ルートではあるが、価格破壊の激しいスーパーは庶民の財布に優しい。同じ商品なら、価格の安いところで買う頻度が高いのは道理だ。しかも、ネット通販の伸長で宅配便でまとめ買いもできる時代だ。そこで、アサヒ飲料社長の岸上克彦氏にまず、自販機事業の意義から語ってもらうと――〕

飲料メーカーにとって、自販機は非常に重要なチャネルの1つです。ですから、自販機の保有台数や影響力は一定のボリュームは必要でしょう。大事なことは、アサヒ飲料として自社商品をきちんと磨いていくこと。自社ブランドを強くして、お客様とのつながりを、より太くしていくことが一番大事なのです。

自販機事業の強化という意味では、当社も今年3月から、大塚製薬さんと自販機での相互商品供給を始めました。我々の自販機に大塚さんの「ポカリスエット」を入れていただいてます。残念ながら、当社のラインナップにはスポーツドリンクで強い商材がなかったものですから。特に夏場は非常に有力な商材で、たとえば病院や学校内の自販機でもポカリスエットは強いですから。

ポカリスエットは、お客様が当社の自販機の前で立ち止まっていただく上で、相当な武器になります。逆に、大塚さんの自販機に当社の「ワンダ」(缶コーヒー)が入っていますが、こちらも先方の武器になっているはずですよ。

現時点では、大塚さんとはこれ以上は何もないですが、飲料業界は、これからまだまだいろいろな変化があると思います。その変化の中で、将来に向けて(大塚との踏み込んだ提携などの)可能性が、あるかもしれませんし、まったくないかもしれない。まだ白紙の段階ですね。

2015年09月号 目次

特集ーマツダ・スバルが好き!
マツダとスバル ─ トヨタも羨む〝独創力〟
伝統と革新が紡ぎだす 強烈なアイデンティティがファンをつかむ
先代より大幅〝シェイプアップ〟 受け継がれる「人馬一体」の志
〝レガシィの伝説〟に革命 ─ らしさを詰め込んだレヴォーグ
〝魂動デザイン〟の造形美をつくり出す プレス成型と塗装技術
石の上にも26年 ─ 看板商品になった 運転支援システム「アイサイト」
一般ファンを開拓した 技術力とマーケティング力
インタビュー
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派遣法改正から3年 コンプラ、ウェブの見直しで成長フェーズへ
現場力を引き上げて収益力の回復目指す
保険の基本は死亡保障 女性、経営者に力を入れる
カルピスと完全統合へ 3位アサヒ、かく戦う
戸建て住宅から世界市場まで 130年企業のグローバル戦略
IR CRIP
クラウドワークス
連載
「経営者の心構え」
住宅ローンに苦しむ人を 助ける「任意売却119番」
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若者の大陸 アフリカ② アフリカ発のモバイル起業家たち