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2016年02月号

【第8回/発想編②】発明家ではなく 発見家であれ

近藤太香巳の 情熱経営塾

パッションリーダーズとは? 近藤太香巳氏が主宰。起業家の応援組織として2011年4月に創設し、定例セミナーを毎月1回開催。人気のビジネスマッチング、アカデミー、すぐに参加できる様々な部会など、多彩なメニューで会員の積極的な成長をバックアップしている。東北、名古屋、大阪、四国、九州に支部を展開し、会員数は3000人を突破。http://www.passion-leaders.com/

若手経営者をゲストに迎え、ネクシィーズ社長の近藤太香巳氏が講師となって経営相談に答える、パッションリーダーズ×月刊BOSSのコラボ企画「近藤太香巳の熱血経営塾」。19歳で起業し、2004年に当時最年少創業社長として東証1部上場を果たした近藤氏は、まもなく社長歴30年。次世代の経営者たちに何を語り、伝えるのか。若手経営者必見の講義です。

第8回のテーマは発想編②「発明家ではなく発見家であれ」です。ゲストは、エムアイエスの三原淳社長とネスグローバルの櫛谷泰輔社長です。

利回り15%のFC展開
コインランドリーの革命児

近藤 今回のお2人は、既存のビジネスから新たな発見をすることで進化させ、業界に一石を投じている経営者です。まず三原さんから事業についてお聞きしたいと思います。

三原 当社は、コインランドリーのフランチャイズ本部を運営しています。従来、コインランドリーを使うのは学生や独身の男性が多かったのですが、私どもは主婦に使っていただけるコインランドリーを展開しています。フランチャイズですので、投資家の方に加盟店になっていただき、我々が出店のお手伝いをする。現在187店舗を出店しています。

 当社のコインランドリーはエコランドリーというもので、自動的に注入される洗剤は、環境にもお肌にもやさしい椰子の実洗剤を使い、すすぎも通常3回のところ1回で済ませられ節水にも役立ち、脱水までを19分で完了させられます。さらにSuicaやPASMOといった電子マネーにも対応しています。

近藤 パッションリーダーズの事業マッチングイベントでプレゼンしていましたが、投資をしたいという人が多くいました。

三原 利回りとしては15%くらいで、約7年で元が取れる計算です。

近藤 直営では何店舗ですか。

三原 187店舗中、直営は4店舗になります。

近藤 本来であれば自社の直営店舗の比率がもっと高いと説得力があります。そんなに儲かるのになぜ自分でやらないのか、となる。逆に言えば、直営が4店舗しかないのに183店舖もフランチャイズを展開しているのはすごいですね。

三原 直営店舗を増やそうとは思っているのですが、適切な物件が月に4、5店舗しか出ないのです。早く店を開きたいというお客様に譲ると、自分たちの分まで物件が回らない状況です。

三原 淳 エムアイエス社長
みはら・じゅん 1967年東京生まれ横浜育ち。2000年、エムアイエスを設立。環境配慮型エコランドリー「mammmaciao」をFC展開。現在「マンマチャオ」を全国187店舗出店。業界初のコールセンター、ネット遠隔返金システム、Suica・Edyなどの電子マネーランドリーを開発、「業界の革命児」と呼ばれる。

近藤 それだと、自社の売り上げは、ほとんど加盟店からのロイヤリティフィーに頼るわけですよね。自社で直営店舗を持ったほうが利益率も上がるでしょう。

三原 管理費や修理費を月々固定で3万8000円もらっていますが、それでも粗利が8割くらいになります。もともと1店舗当たり月に30万円程度の売り上げですから、もらいすぎてもよくないのかなと。1店舗出店するのに1800万円ほど出資していただくのですが、自社で出すにしても1000万円以上かかります。現状では直営店をどんどん出すというわけにはいきません。しかし物件とお金があれば始められるものですから、いまはフランチャイズの希望者のペースが上回っている感じですね。オーナーにはサラリーマンの方もいます。

近藤 これはIPOを目指せるモデルだと思います。必要なものを内製化していけばさらに収益率も上がりますし、上場すれば銀行からお金を借りても個人保証はいらないですから、直営店を含め、さらに展開をしやすくなります。

三原 現在は社員が8人しかいませんが、上場を目指そうと社員に伝えたところです。

近藤 投資が必要な事業は上場したほうが、ビジネス的にも有利になります。櫛谷社長はいかがですか。

業界に風穴を開ける新発見
後発だからこその工夫

櫛谷 ネスグローバルでは、海外留学部門と国内語学スクール部門の大きく分けて2つの事業を展開しています。海外留学では、これまで14年間で1万人以上の方を海外に送り出しています。我々の独自性として、多くの同業者が5万〜15万円の手数料を取るところ、14年前に日本で初めて手数料ゼロ円でやらせていただきました。海外の約700校と提携していまして、紹介をするとその学校からコミッションをいただけるのですが、このコミッションだけで留学を支援しています。

 また、申し込みから出発前の期間の英語のレッスンが無料で受けられます。これは語学学校を持っているからできることです。

近藤 無料だけでなく、出発前に語学の基礎を教えるというのは驚きですね。他にも同じようなサービスをしている業者はありますか。

櫛谷 手数料を取る業者のなかにはレッスンをしているところもありますが、無料の業者では当社だけです。また、帰国後も半年間、英語のレッスンが無料で受けられます。

近藤 それは大きな差別化ですね。お客様にしてみれば、海外の学校の授業料も重要な問題です。たとえば自社で海外に学校を開いて、安く留学生を受け入れることはできないのですか。

近藤太香巳 ネクシィーズ社長
こんどう・たかみ 1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証1部に上場。プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ10社にまで成長させ、LED照明レンタル事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。2015年9月、電子雑誌出版の(株)ブランジスタがグループ2社目となる株式上場を果たした。常に新たな分野へ挑戦し続け、早稲田大学や東京大学・一橋大学などでの講演活動も積極的に行い若者の心を持ち前の情熱でリードしている。JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。

櫛谷 国によっては自分で学校を持つこともあり得ます。ただ、既存の留学先はすでにレッドオーシャンになっている国も多いですから、料金の差別化は難しいかもしれません。むしろ既存の学校から、より有利な条件を引き出してコミッションをいただくビジネスのほうがいい場合が多いです。

三原 卒業生を、たとえば弊社のような小さな企業でも採用できますか。

業界初の手数料ゼロ円
ワンストップで留学をケア

櫛谷 留学生がいま、もっとも気にしているのが帰ってきてからの就職です。留学期間があると、どうしても新卒ではなく中途採用になってしまう場合もありますので、私どものほうで人材を欲している企業と生徒のマッチングができないか、集団面接のようなことをしたいと考えています。

近藤 身に付いた英語力を活かせる会社を紹介しますよということですね。これは、現地に学校をつくるというより、サービスの開発で勝負できるビジネスになっていますね。

櫛谷 留学の申し込みから就職まで、ワンストップでケアできるビジネスができればなと考えています。ゆくゆくはライザップのように、短期集中で語学習得ができるカリキュラムが組めれば面白いですね。

近藤 両社とも、従来から存在している業界で、誰もやっていないことを発見し、進化させて独自性を打ち出しています。例えばマッサージは江戸時代から按摩さんとしてありましたが、現代ではクイックマッサージやエステサロンに発展してきています。すべての業種にはこうした進化があります。発明することは難しいけれども、新しいサービスを発見して進化させていくことは、成功の確率も高くなります。後発だからこそ、工夫が大事です。

三原 先駆者たちは、そのビジネスで儲かったわけですから、そこで満足してしまっています。私はコインランドリー業界で最後発ですから、組合にも入れてもらえませんでした。従来の業者は店舗をつくるのに3000万円くらいかけますから、私どもが1800万円で店を作ってしまうことも気に入らないらしく、業界内での評判はいまも悪いですね。

近藤 旧態の業界を変えようとすると、嫌がらせ等があって、実に面倒くさくなります。つまり新規参入は多くないということです。でもそれだけに、新しい発見ができればビジネスチャンスに繋がります。

櫛谷 私は直接的な嫌がらせは受けなかったですが、お客さんによると有料の事業者から「あそこは無料だけど送りっぱなしでサービスが悪いからやめたほうがいい」などと根拠のないことを言われたそうです。

櫛谷泰輔 ネスグローバル社長
くしや・たいすけ 1974年生まれ。新潟県出身。16歳の時ニュージーランドに6年間ラグビー留学。2001年、当時では初めてとなる手数料無料の留学エージェントを立ち上げ、14年間で1万人の日本人を海外に送る。2003年に英語・フランス語の語学学校を国内で立ち上げ、現在11校運営している。

三原 私も2ちゃんねるに「エムアイエスは赤字だから来年潰れるぞ」とか書かれました(笑)。

近藤 それなら私は「近藤太香巳」の個人名で3つくらいスレッドが立っていましたよ(笑)。それは気にしても仕方のないことです。

三原 近藤代表に質問なのですが、私自身は外に出て様々な経営者と交流を持つことで、ものの考え方等が成長できているように思うのですが、いまの社員の8人は現場で業務に集中しているせいか、一緒に食事に行くことも減り、自分との間に距離ができているように感じます。どう接すればよいのか悩んでいます。

近藤 8人の規模で遠くなってはいけません。それくらいの規模なら食事に行ったりして夢の話がいくらでもできます。これから上場を目指そうというところなのですから、たとえば、宝くじに当たるのは単に棚から牡丹餅のラッキー。だけど上場すれば、ストックオプションや従業員持ち株会で社員が自社の株を持つわけです。これは従業員の努力や人生そのもののがんばりが資産になり、それが1000万円になるかもしれないし、1億円になるかもしれない。これは宝くじが当たったのではなく、努力の対価です。給料が上がるのはもちろんいいことですが、給料とは別に、自社の株価は努力の対価として残る。そのような夢を与えなくてはいけません。

 社長の仕事は、部下にこれをやれと単に指示をするのではなく、仕事をする意味と意義を説明することで、会社に対して社員に誇りが生まれます。いま社員と食事に行かなくなったというのは、危険だと感じたほうがいいですね。この8人の意思が固まらなければ、100人になっても固まらない。もちろん長く経営していくなかでは人の入れ替わりはあるでしょう。でも、少なくともいまのメンバーが熱狂してくれなければ、次に入ってくるメンバーも熱狂しません。

櫛谷 日々、経営していくなかで、社長としても人間としても、自分は足りてないなと悩むことがあります。近藤代表はそう感じたことはありますか。

近藤 あまり人に言ったことはないですが、自分の能力のうち、まだ自分は50%くらいしか出せていないと思っています。一生のうちで100%まで出しきれるのかわかりませんが、自分はなんて能力がないんだろう、なぜもっとやり手ではないんだろうと、いつも感じます。自分が能力を発揮すれば、ネクシィーズは100億円の利益が出せるはず。それができない自分は、なんてダメなんだと、その悔しさがバネになっています。

 もちろん、瞬間的な喜びや達成感はありますが、腹の中では苦悶しています。現状に満足してしまうと成長はないでしょうから、足りないと思う気持ちがあれば、それがバネになって「がんばろう!」と思えるのではないでしょうか。

2016年02月号 目次

試し読み
「2016年」は節目の年 繰り返される歴史の因果
生中継じゃわからない箱根駅伝のソロバン勘定
「できません」とは 絶対に言わず、「やれます」と 言い続けるために必要なこと
12月より義務化がスタート。 導入計画、ストレスチェック、医師面談まで一括サポート
【IRクリップ】パートナーエージェント
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【第8回/発想編②】発明家ではなく 発見家であれ
「教えたい人」と 「学びたい人」の マッチングサービス
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