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2016年03月号

【第9回/プレゼンテーション編①】最強プレゼンテーション

近藤太香巳の 情熱経営塾

パッションリーダーズとは? 近藤太香巳氏が主宰。起業家の応援組織として2011年4月に創設し、定例セミナーを毎月1回開催。人気のビジネスマッチング、アカデミー、すぐに参加できる様々な部会など、多彩なメニューで会員の積極的な成長をバックアップしている。東北、名古屋、大阪、四国、九州に支部を展開し、会員数は3000人を突破。http://www.passion-leaders.com/

 若手経営者をゲストに迎え、ネクシィーズ社長の近藤太香巳氏が講師となって経営相談に答える、パッションリーダーズ×月刊BOSSのコラボ企画「近藤太香巳の熱血経営塾」。19歳で起業し、2004年に当時最年少創業社長として東証1部上場を果たした近藤氏は、まもなく社長歴30年。次世代の経営者たちに何を語り、伝えるのか。若手経営者必見の講義です。 第9回のテーマはプレゼンテーション編①「最強プレゼンテーション」です。ゲストは、K‐51インターナショナルの川崎浩一社長とジャパンフード千鳥の豊山佳凡社長です。

近藤 今回のゲストである川崎社長は、パッションリーダーズの第1回プレゼンテーションアワードで最優秀賞を受賞しています。また豊山社長はパッションリーダーズコンテンツの1つであるドリームミーティングでプレゼンテーションを行い、ネクシィーズからの出資が決まりました。両社の事業内容をお聞きしながら、プレゼンの極意について語っていきたいと思います。

豊山佳凡 ジャパンフード千鳥社長
とよやま・よしつね 1976年3月10日生まれ。中食デリバリー事業会社を10年間経営しながら、2014年、千鳥製麺を創業。飲食施設など向けに本格ラーメンを簡易に提供できるパッケージを開発し販売開始。15年12月株式会社ジャパンフード千鳥に組織変更し社長に就任。本格ラーメンを専門店以外でも気軽に食べられる文化をつくる活動を推進

外食産業に新風
カフェで食べる本格ラーメン

豊山 私どもは千鳥製麺という、ラーメンを1食のパックにして、飲食店や外食施設に卸すというサービスを行っています。よくある濃縮スープをお湯で割るものではなく、有名店と同等のレシピを保有しているのが当社の強みで、スープのパックを湯煎するだけでそのまま使えます。主にカフェ等に卸していますが、大手カラオケチェーンにも取り扱いを検討していただいています。

近藤 この会社の何がすごいのかと言うと、「美味い」に尽きます。作り置きではなく、本当にそこで作っているような味が出せています。特別感のある味です。

豊山 名前は出せないのですが、福岡の某有名ラーメン店と同じレシピでつくり、実際にその店の方にお墨付きをいただいた味になっています。(ここで豊山氏が実際にスープを取り出し試飲を勧める)

川崎 これは美味しいですね。麺も卸しているのですか。

豊山 麺もありますが、実はスープを複数商品ラインナップしているスープ製造業者が見当たらないので、逆に製麺業者側からタッグを組めないかというお話をいただいています。

川崎 このスープと麺があれば、簡単にお店が出せそうなレベルですね。

豊山 外食産業は人材難と言われていますが、このパックなら今日入ったアルバイトでも本格ラーメンが作れます。その要領で、まだ種類は少ないのですが、海外の店舗にも提供を始めています。業販価格で1食あたり150〜200円程度で卸せますので、飲食店さんや施設さんの売り上げUPや話題づくりの面でも貢献できるのではないかと思います。

近藤 ネクシィーズが出資を決めたのも、シンプルなビジネスモデルと、やはり味です。発想としておもしろいのは、ラーメン店と勝負するのではなく、カフェやカラオケ店に持っていけるということです。利用者にしてみれば、ラーメン店ではないところで、こんな本格的なラーメンが食べられたら嬉しいですよ。

豊山 1年間で消費されるラーメンは3・8億食と言われていますが、まずは1%にあたる380万食を千鳥製麺で占めたいと考えています。セブンカフェさんがコーヒー市場のわずか1%の売上高(セブンカフェの今期目標は8億5000万杯、850億円以上)であっても、大変大きな数字になります。いろんなところで本格的なラーメンを食べられる文化をつくっていきたいですね。

川崎 私はシンプルにオーダースーツの販売を行っています。『完全予約制』『出張サービス』で人件費や賃料などの余計なランニングコストを最小限に抑えることで、百貨店等で6万円クラスのオーダースーツを3万9800円からで提供しています。

近藤 パッションリーダーズのメンバーがよく買っているそうですね。

川崎浩一 K-51インターナショナル社長
かわさき・こういち 1978年生まれ福岡県出身。2000年大手アパレルメーカーに入社、2年で店長職に就く。09年独立し、K-51インターナショナルを創業。10年オーダースーツ・シャツを中心とした自社ブランド『Vary Born』を立ち上げる。中国ビジネスにも進出。スーツ研修のセミナー講師も務める傍ら、15年に「オーダースーツ×美容室」の新型店舗をオープン。

川崎 会員さんだけでも売り上げが4000万〜5000万円くらいになっています。

近藤 会員同士のビジネスで、こんなに仕事が増えているのは、全体でもトップかもしれません。かっこよくて安いと評判です。最近、新しい仕掛けのお店を出したそうですね。

オーダースーツ×美容室
リピーター続出の新型店舗

川崎 日本で初めての「オーダースーツ×美容室」がコンセプトの新店舗をオープンしました。

近藤 ショールーム的な空間に、スーツ屋と美容室が美しくマッチングしています。当初の設計イメージ図を見た時に、これはおもしろいと感じました。かっこいい洋服の横に美容室がある。しかもここである程度買い物をすれば、年間何度来ても、美容室は無料。髪形がかっこよくなればかっこいい服を着たい。思考がつながっているわけですよね。

川崎 現在は美容室よりもオーダースーツがメーンですが、お店には帽子やマフラー等、トータルなアイテムが揃っています。VIP感のある空間が広がって、初めて来店した方からは、芸能人が来そうな雰囲気だよねと言っていただけます。顧客層は30代、40代が中心で、客単価で8万円くらいですが、年間20万円買うと、カット代が1年間何度でも無料になります。パーマ等は有料ですが、来店した方でゼロ円のまま帰る人はあまりいません。ヘッドスパをしたり、ついでにシャツを買ったりと、足を運んでいただくきっかけになっていると思います。 オフィスのようなエントランスになっていまして、美容室は予約をしていただかなければ入れませんので、ふつうの店舗とは異なります。いまのところはお客様に対してのアフターサービスのような形で、美容室としての宣伝はしていません。こちらも宣伝したほうがよいのか、スーツで伸ばして美容室に流すのか、悩んでいるところではあります。

近藤 もとは洋服屋なわけですから、7対3くらいのつもりで考えていればよいのではないでしょうか。美容室とカフェのセットはよく見かけますが、実はお茶を飲むために美容室に行こうという人は多くありません。しかし、髪を切れば、髪形に合う洋服を探したくなるのも自然な感情だと思いますし、逆の場合もあるでしょう。消費者にとればすごく便利なものだと思います。 ただ、個人的には、現在は三田にありますが、渋谷や代官山あたりに出店してほしいという気持ちはありますね。大きくショールームのような店舗にするにはなかなか難しいのかもしれませんが、代官山でしたら取材等が入る可能性が高くなります。誰かがマネをする前に出せば、「話題性」という面で、大きなプロモーションができる。このビジネスモデルが成功したら、先行投資として企画してみてはいかがでしょうか。

川崎 そうですね。話題づくりという仕掛けは必要だと思っています。ちなみに、この美容室を運営しているのもパッションリーダーズのメンバーなんです。

近藤 そうだったのですか。本当にうまく活用していますね。

近藤太香巳 ネクシィーズ社長
こんどう・たかみ 1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証1部に上場。プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ10社にまで成長させ、LED 照明レンタル事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。2015年9月、電子雑誌出版の(株)ブランジスタがグループ2社目となる株式上場を果たした。常に新たな分野へ挑戦し続け、早稲田大学や東京大学・一橋大学などでの講演活動も積極的に行い若者の心を持ち前の情熱でリードしている。JAPAN VENTURE AWARD2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。

短文・単語と3つの物語
誰でも使えてこそのプレゼン資料

川崎 私は第1回のプレゼンテーションアワードで優勝しましたが、実はパッションリーダーズで聞く講演や近藤社長の話がすごく参考になっていまして、それをベースにプレゼンも考えられるようになったと思っています。

近藤 プレゼンがわかりやすいか、魅力的か、話し方も含めて短文・単語で簡潔にまとめられているか、等々で評価をして、最優秀賞を決めていくわけですが、観客はメンバーですから、興味を持ってもらえればそのままビジネスマッチングへとつながっていきます。何度か開催していけば、優勝者のプレゼンを聞いて、どんどんレベルが上がっていくだろうと考えていました。しかし川崎社長はパッションのメンバーを相手に5000万円級の売り上げを上げているだけあって、第1回からやはり上手かったです。時折冗談も交えながら、聞く耳を持たせ、そしてそれをダラダラと自慢にならないように、話を歯切れよく展開させていく。見事でした。

川崎 よく「業界一」とか「日本一」のようなものをつくったほうがいいと言われますので、この資格も使えるかなと思ったのが「骨格スタイルアドバイザー」です。知人に勧められて取った資格なのですが、取得しているのは日本人男性では私だけですので、格闘家のヒョードル氏が「人類最強60億分の1の男」なら、私は「日本人男性6311万分の1の男」だなと(笑)。

近藤 そういう話術に引き込まれて、話が聞きたくなるわけです(笑)。 プレゼン資料をつくるのは、ビジネスモデルをつくるのと同じです。①世の中は(業界は)こうである②課題はこうである③当社ならこのように解決できる。この3つをいかに短文・単語で表すかです。プレゼンが下手な人は、やたら字を多く書いたり、自分が話しやすいようにつくります。それは間違いです。 往々にして社長に直接話をすることが少なくて、だいたいの営業マンは部長クラスにプレゼンをします。そうすると、部長に対しては自分のトークができますが、部長から社長に話が行く際は、部長のトークになるわけです。ですから、部長が使いやすい資料になっていなくてはいけません。それはどういうものかと言えば、字が少なく、短文・単語で3つのストーリーがつくれているということです。ビジネスモデルをつくるのと同様に、資料をつくるというのはとても大事なことです。

川崎 プレゼンは小説というよりも、絵本くらいの感じで瞬間的に見てわかるほうが伝わりやすいですからね。

豊山 私も外食産業の状況はこうだ、課題はこうだ、解決のためには小ロットで納品されればお店は喜ぶ、我々はこういうことができると、資料をつくるようにしています。

近藤 プレゼンだけでなく、パンフレット等も見ただけでわかるようにしなくてはいけません。豊山社長のラーメンのチラシは受発注書のような形になっていますが、私なら「ウチにはこんなラーメンやこんなラーメンもあります。この商品でラーメン屋をやっている人がいます。カフェやカラオケ店等このような店で出されています」という例があって、「味はこうです」と先ほどの試飲をしてもらいます。味は自慢できるものなのですから、あとは説得力を持たせるような資料にしていきます。 両社ともプレゼン資料がいらないほど、すばらしい商品を持った会社です。ただ、スピードを上げて集客し、商品を採用してもらうという点では、今後も自社をプレゼンしていかなければいけません。相手を納得させる力をさらに磨いてもらいたいですし、それができる方たちだと思っています。これからも頑張ってください。楽しみにしています。

2016年03月号 目次

試し読み
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