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2016年04月号

【パッションリーダーズ×月刊BOSS】プレゼンとは 経営者の表現の場

近藤太香巳の情熱経営塾 第10回 プレゼンテーション編②

パッションリーダーズとは? 近藤太香巳氏が主宰。起業家の応援組織として2011年4月に創設し、定例セミナーを毎月1回開催。人気のビジネスマッチング、アカデミー、すぐに参加できる様々な部会など、多彩なメニューで会員の積極的な成長をバックアップしている。東北、名古屋、大阪、四国、九州に支部を展開し、会員数は3000人を突破。http://www.passion-leaders.com/

若手経営者をゲストに迎え、ネクシィーズ社長の近藤太香巳氏が講師となって経営相談に答える、パッションリーダーズ×月刊BOSSのコラボ企画「近藤太香巳の情熱経営塾」。19歳で起業し、2004年に当時最年少創業社長として東証1部上場を果たした近藤氏は、まもなく社長歴30年。次世代の経営者たちに何を語り、伝えるのか。若手経営者必見の講義です。

第10回のテーマはプレゼンテーション編②「プレゼンとは経営者の表現の場」です。ゲストは、ファイン・ラボの林芳樹社長とトラサブロウの嶽山新社長です。

近藤 前回(第9回)に引き続きプレゼンテーションをテーマに話を進めていきますが、今回のゲストの嶽山社長はパッションリーダーズの第2回プレゼンテーションアワードで最優秀賞を受賞し、林社長はドリームミーティングでのプレゼンテーションからネクシィーズの出資を獲得しました。まずはお2人に熱く事業を語っていただきます。

除菌は誰のため?
安全な商品で世の中を変える

林 私は除菌・消臭剤「アクアウィッシュ」の販売をしています。この除菌・消臭剤は他社にはない、人体に無害な塩と水だけで出来ています。もともと私自身が潔癖症で、手を洗ってアルコールで消毒してという行為を頻繁に繰り返すことで、まるで象のように手が荒れてガサガサになってしまいました。何とかよい除菌方法はないかと研究してたどり着いたのが、塩と水だけで出来る電解水だったのです。電解すると油汚れが取りやすくなるアルカリ性の水、除菌効果が高い酸性の水のどちらかができます。化学式で説明すると長くなって難しくなってしまいますが、弊社の商品は中性で濃度が高く、ノロウイルスにも効くというものです。市場には類似商品がたくさんありますが、中性電解水で濃度が高いものは日本で弊社だけです。

近藤 類似商品もあるなかで、何が違うのですか。

林 市場では次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムが同じものと思われがちですが、多くが次亜塩素酸ナトリウムのほうで、それを希釈して薄めて使います。例えば台所に用いるK社の「ハ○ター」などがそうです。弊社の商品は塩と水だけの次亜塩素酸水です。

 消臭剤と言えばP社の「ファ○リー○」やK社の「リ○ッ○ュ」があります。臭いの原因は多くが雑菌によるものですが、これらの消臭剤はマスキング方式といって菌を包み込み、菌よりも強い芳香成分でいい匂いを出します。しかしそれらを、口を開けて顔にかけることができますか? アクアウィッシュは塩と水が成分なので、口のなかに入れても害はありません。臭いのもとである菌を殺すので、たとえば納豆にかければ納豆の臭いがしなくなります。

林 芳樹 ファイン・ラボ社長
はやし・よしき 1973年生まれ。滋賀県出身。2004年アウトソーシング 事業にて起業。同年6月には法人化。08年デザイン事業・飲食事業でも会社を設立。同年関東に進出し事務所を設立。10年ファイン・ラボを設立。14年アクアウィッシュの販売をスタート。

近藤 逆に言えば、いい菌も殺してしまいますね。

林 だから飲用ではないのですが、万が一、口に入っても害はありません。しかしハ○ター等の次亜塩素酸ナトリウムは漂白効果がありますので、安全とは言えません。ファ○リー○等の消臭剤では、マットなどにかけて、それをペットが舐めることで肝疾患等の健康被害が出ています。そもそも除菌のものに香料をつけること自体が危険なのです。アルコールは体内に入れば危険ですし、何より濡れたまな板等にかけても意味がありません。ある飲食店にアクアウィッシュを試していただいた際に「アルコールと同じくらいしか除菌できなかった」と言われました。ですが、次亜塩素酸水は濡れているところにかけても除菌できますし、アルコールと同じくらいならば、それよりも安全でかつ人体や環境にも影響がない商品を使った方が合理的です。除菌を保健所のためにするのか、食中毒を出さないようお客様のためにするのか、本末転倒にならないようにしてもらいたいです。私はこの商品で世の中を変えたいと思っています。そこで、売り上げを上げて人を増やすのか、人に投資して売り上げを高めるのか。社長を15年していますが、いつも悩みます。

情報をいかに増やすかよりも
いかに削るか、が大事

近藤 ボランティアではありませんから、志はあっても利益を上げていかなくてはいけません。ネクシィーズでも、新人を戦力にしようと思えば、育てるのに半年はかかります。営業なら最低でも粗利で1人60万円以上稼がなければ給料や販管費が賄えません。そのビジネスが1人60万円以上を稼ぐのが見えたら営業マンを増やし拡大させる。その時の資金によって、3人入れるか、5人入れるかという選択ですね。人には投資をすべきですが、人を育てるために投資するのではなく、人を育ててそれ以上の利益を上げてもらうために、また彼らの成功によって社員の生活を向上していくための投資です。

林 もう1つ、日本は安全を重視しているわりに、曖昧な基準で安全を考えています。除菌するのにきつい薬剤を使い、もし使い方を間違えて体内に入ればもっと危ない。なぜ安全なものを使わないのか。世の中の基準を変えるのは、理解と時間がものすごくかかります。

近藤 そこに気持ちを入れ過ぎているのではないですか。もっとスピーディーに、テンポよくいかなくてはいけません。「なぜ変えないのか」という疑問はソフトバンクの孫正義社長もそうでした。私が孫社長と組んでYahoo!BBを普及させる時、孫社長は「安くて速いのになぜ使わないんだ」と感じていたのです。当時のソフトバンクはまだ知名度が低かったこともあり、電話営業でも断り文句が「NTTに任せています」でした。私が孫社長に2ヵ月無料キャンペーンを提案したところ、「安くて速いのになぜ無料にしなければいけないのか」と反対されました。お客さんがNTTから変えない理由は「めんどくさい」、「不安だ」といった理由が大半ですが、2ヵ月無料のお試しなら使ってくれる人もいます。「安くて速い」を体験してもらうことで商品の価値を理解して頂けたのです。大手のシェアを切り崩していくのがベンチャーです。

近藤太香巳 ネクシィーズ社長
こんどう・たかみ 1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証1部に上場。プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ10社にまで成長させ、LED照明レンタル事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。2015年9月、電子雑誌出版の(株)ブランジスタがグループ2社目となる株式上場を果たした。常に新たな分野へ挑戦し続け、早稲田大学や東京大学・一橋大学などでの講演活動も積極的に行い若者の心を持ち前の情熱でリードしている。JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。

軽自動車からポルシェまで対応
在庫を抱えない自動車ビジネス

嶽山 私は、新車・中古車の売買がメインの事業です。付随して整備やカスタム、車検も扱っています。「在庫を抱えない」ことが他社とは違う強みです。

 いまコンビニが全国で5万件ありますが、クルマ屋は15万件もあります。もちろん地域差はありますが、非常に多い。一般的な中古車屋は、いまお店にあるクルマを無理やりにでも売らなければ、次のクルマを仕入れることができません。ですから、お客様のニーズに応えるサービスができにくくなります。結果的に販売後のクレームが多くなってしまうのです。それが嫌で、私は在庫を持たずに、お客様のニーズに合ったものを仕入れ、ご用意する形にしました。

近藤 パッションリーダーズ理事の相川佳之先生(SBCメディカルグループ総括院長)もその早さと仕事を絶賛していましたね。

嶽山 相川先生から、患者さんを運ぶためにストレッチャーが載るクルマが欲しいとご要望がありましたのですぐ手配したところ、その場で即決していただきました。もう1台、健康診断をするための検診車両も手配しています。こういったお客様のご要望に対応できるのが強みです。過去には霊柩車や救急車も買い取ったり、他の業者さんではできないサービスを心掛けています。

近藤 嶽山社長はプレゼンテーションのなかで8万円の軽自動車から1500万円のポルシェまで、何でも好きなクルマ、その人のニーズに合ったものを持ってくると話されていました。そして実際にスピーディーにいいものを持ってくる。しかも在庫を抱えないことによって生まれるコストダウン効果で、安くなる根拠もはっきりしています。ちなみに要望を断ることはあるんですか。

嶽山 クルマは命を乗せて走るものですので、とにかく安くといった金額だけの要望はお断りしていますが、そういうもの以外でしたら一度お話を聞いたうえで探しています。

近藤 一般の人は霊柩車なんて探すのも大変ですし、どこで売っているのかもわかりません。

嶽山 我々はクルマを作れませんから、流通しているクルマの情報をどれだけ集め、それをお客様に提供できるかが大事です。買い取りも同じで、通常は業者のオークションでクルマの相場が決まります。しかし、お客様の情報も把握していれば、お客様とお客様を直接繋いで、高く売って安く買うことが実現できます。その際には我々の整備工場でキレイにしてお渡ししますから、アフターサービスも問題ありません。

嶽山 新 Trasaburou社長
だけやま・あらた 1988年生まれ。京都府出身。小学生から野球を始め、大学では教員(指導者)を目指す。大学卒業時に教員をあきらめ、22歳でアルバイト仲間と自動車会社を起業。3年で独立し株式会社Trasaburouを設立。部活で培った元気を武器に『日本一元気な車やさん』として個人から大手企業まで顧客を抱える。

近藤 店舗がないことで広告を出しても爆発的に売り上げが増えるビジネスではないですが、ここに頼めば早くて安心というクチコミで安定的に稼いでいけるように思います。

嶽山 現在はインターネットでクルマを買ったり、様々なサイトで希少なものも探すことができる時代です。受注販売という言い方をしていますが、売り上げも増やして人も増やしたいと思っても、ネットではなかなか自分たちのサービスが広げられないもどかしさがあります。

近藤 営業のツールとして見せられるものはあったほうがいいですね。スマホやタブレットPCで気軽に紹介できるスタイルがいい。例えば、普通は売っているものをサイトで見せますが、これまでに売れたものを追加していくような形はどうですか。お客様のこんな要望にこう応えましたとか、このクルマのよかったところはこの部分ですといったコメントや、実際に納車するまでの丁寧な様子を詳しく載せることでハート・トゥ・ハートが感じられ、とても素敵になります。

嶽山 いいですね。早速、考えてみたいと思います。

近藤 両社とも消費者のことを考え、日本を変えていこうという信念は伝わりました。ベンチャー経営者が自社をプレゼンする場合、「ウチは小さいけどこういうことができるんですよ」「名前は売れていませんけど、本当にいいものはこっちですよ」と言えるキラーカードをしっかり伝えなくてはいけません。

 ビジネス関連の話で人にものを伝える時は10分以内が勝負です。10分以内と最初に言うことで、相手は「なら聞こうか」となる。延々聞かされると思えば、聞く気になりません。10分説明するので、それから質問をお受けしますと言うことで、主導権がこちらになるのです。確かに「いいもの」は、言いたいことがたくさんあります。でも、情報をいかに増やすかということよりも、いかに削るかのほうが大事です。削っても相手に伝わるように、いかに短文や単語、ひと言で表すかを心掛けるべきです。お2人の成功を期待しています。頑張ってください。

2016年04月号 目次

試し読み
【General statement】社長交代発表から1年 本当にホンダは 変わるのか
【INTERVIEW】存在を期待される企業へ 〝ホンダらしい商品〟を追求
【INTERVIEW】Mr.クオリティが挑む 〝ホンダらしさ〟の追求
【Special Conversation】富裕層ほど気になる!〝健康〟は自己実現の欲求
【この企業の匠】専用パティとバンズを使った モスの1000円グルメバーガー
【パッションリーダーズ×月刊BOSS】プレゼンとは 経営者の表現の場
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