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2016年05月号

強い社員が育つ モチベーションアップ術

近藤太香巳の 情熱経営塾 第11回 社員教育編①

パッションリーダーズとは?

近藤太香巳氏が主宰。起業家の応援組織として2011年4月に創設し、定例セミナーを毎月1回開催。人気のビジネスマッチング、アカデミー、すぐに参加できる様々な部会など、多彩なメニューで会員の積極的な成長をバックアップしている。東北、名古屋、大阪、四国、九州に支部を展開し、会員数は3000人を突破。http://www.passion-leaders.com/

若手経営者をゲストに迎え、ネクシィーズ社長の近藤太香巳氏が講師となって経営相談に答える、パッションリーダーズ×月刊BOSSのコラボ企画「近藤太香巳の情熱経営塾」。19歳で起業し、2004年に当時最年少創業社長として東証1部上場を果たした近藤氏は、まもなく社長歴30年。次世代の経営者たちに何を語り、伝えるのか。若手経営者必見の講義です。

第11回のテーマは社員教育編①「強い社員が育つモチベーションアップ術」です。ゲストは、SURF CAPPの水口憲治社長と精華の清田茂社長です。

月に一度の「魅力会議」
スタッフこそ最初のファン

近藤 水口社長は横浜・湘南地区にこだわってイタリアン、焼き鳥、ワンコインピッツァ等13店舗の飲食店を経営しています。エリアを限定し一点突破の戦略で成功している良い判断だと思います。今回のテーマである社員のモチベーションについて、どのような取り組みをしていますか。

水口 まずお店のコンセプトがあって、そのコンセプトが魅力的で社員、店長がワクワクしているかどうか。お客様と接するのは基本的にアルバイトスタッフですから、その魅力をアルバイトが理解しているか、お客様目線で理解できているかどうかをチェックしています。お客様に喜んでいただく前に、スタッフやアルバイトがお店のファンになっていかないとお店の魅力をつくっていけません。それらのチェックをしたうえで、月1回、「魅力会議」という会議をします。昔は、売り上げが下がると販促や値引きをしてお客様を呼び戻そうとしたものですが、これは結果的にさらに値引きをしていかなければならず、悪い方向へと進んでしまいます。安くても質が悪ければお客様の満足度は下がっていく。一番大事なのはお店の魅力を高めることですから、そのためのコンセプトメイクをして、スタッフがファンになることでやる気を高めてもらいます。

近藤 なぜ横浜にこだわりを持っているのですか。

水口 実は東京も4店舗作りましたが、すべて閉めました。人材でかなり苦労をしまして、アルバイトは採用できても社員が採用できなかったのです。横浜のスタッフを口説いて東京に引っ越してもらったりしたのですがうまくいかず、逆にスタッフのモチベーションが下がってしまいました。横浜では昨年もアルバイトから3人が正社員に昇格しましたし、採用費もかかりませんでした。それに店舗を回るにも、東京では、赤坂に行ったり自由が丘に行ったりするだけで、移動に1時間かかってしまいますが、横浜周辺なら歩いても回れますから、非常に効率的です。

近藤 横浜も相当、都会だと思いますが、東京と何が違うのですか。

水口 まったく違います。横浜は東京から最も近いローカル都市です。言い方は悪いですが、スゴイ経営者はみんな東京を目指すので、競争相手も少ない。横浜は観光地ですし、おしゃれで地元愛も強いのですが、東京に対しては引け目を感じているところもあります。

近藤 やり手の経営者が少ないと。それも戦略ですね。

水口憲治 SURF CAPP社長
みずぐち・けんじ 1968年生まれ。92年環境工学研究所に入社。95年横浜で焼き鳥居酒屋を出店し独立。倒産危機、大事件からの復活など波乱万丈なビジネス人生を歩み、現在では横浜・湘南地域を中心に13店舗を展開。エリアナンバー1飲食企業を目指す。

 清田社長は女性向けの雑貨やアクセサリーの店舗を20店舗、展開していますが、いかがですか。

強い社員を育てるにはチャレンジする社長の姿を見せる

清田 目標を立てる時に、多くの人は現状の延長線上に目標を立てます。だいたい前年比120〜150%くらいの範囲で、おそらく10人いれば9人くらいの方はそうではないでしょうか。弊社の場合は「チャレンジ目標」を設定していまして、1年後に2倍から3倍、能力のある人は5倍の目標を立ててスタートします。現状の延長線上で手に届く目標を立てた場合、例えば穴を掘るという作業でしたら、手で掘っていたものがスコップになるくらいのアイデアや進化しかしません。しかし自分の限界を超える高い目標を立てることによって、達成するための工夫をします。結果としてシャベルやショベルカーを使ったり、いろいろアイデアを出すことで、ステップアップする伸び率がまったく変わってきます。高い目標を掲げることで、実際に2倍3倍の結果を出してくるスタッフが生まれます。そうして強い社員が育ち、成長率も高くなります。

近藤 やはり経営者はどれだけスケールの大きなことが言えるかだと思います。社員の想像内のことを言ってもリーダーとしての魅力は感じないでしょう。これは達成できないんじゃないか、という限界を突破することがチャレンジですから、ここを社員にしっかり見せて、経験させるのがリーダーの役割です。

 ネクシィーズで言えば、最近、社員にモチベーションを与えるのが、すごく伝えやすくなりました。以前、私が20代の時に思ったことですが、会社には3つのパターンがあって、①あってもなくてもいい会社。これはだいたい潰れます。②お客さんにとって便利な会社、③この世になくてはならない必要な会社です。ネクシィーズは②の会社にはなれたと思います。衛星放送にしてもブロードバンドにしても普及のお手伝いができました。しかし、③の会社は自分にはできない、公共的な事業や国の機関ではないから無理だろうと思っていました。

 ところが、最近は様子が変わってきました。当社はLED照明レンタルサービスを始めて、2020年までに5万件の導入店舗を目指しています。これを達成すれば160万トンのCO2削減、杉の木で言えば13億本植えたことになります。つまり自分たちのビジネスが、地球環境のためになっているわけです。人間は、自分のことよりも人のために何かをするほうが、モチベーションが高まるということがわかりました。

清田 自分たちはまだ社会のためという規模の会社ではありませんが、採用の際に1つ質問があります。たとえば飲食店でしたら、将来独立を考えるような能力の高い方が来ると思いますが、私どもはレディースファッションということもあって、なかなか男性でモチベーションの高い人が入ってきません。女性も優秀ですし、役員クラスも女性なのですが、私自身がメインでやっている部分もまだまだ大きいので、幹部クラスを前提に採用をするのはどうだろうかと迷っています。

近藤 幹部はプロパーから育てなくてはいけないと思います。中途採用で取った人材が将来的に幹部に成長するのは問題ないのですが、幹部を前提に外から入れるべきではありません。たとえばナンバー2には何が必要だと思いますか? ナンバー2に大事なものは、どれだけナンバー1が好きかです。これで会社はまとまります。ナンバー2が社長を好きなら、社員は安心します。役員のなかで社長派とか常務派のような派閥ができてしまっては、会社はムチャクチャになってしまいます。もちろんナンバー2は能力も重要ですが、それ以上にナンバー1が好きで、どんな苦難があっても支えていく覚悟と責任感が大事です。外からの採用では難しいでしょう。

近藤太香巳 ネクシィーズ社長
こんどう・たかみ 1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証1部に上場。プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ10社にまで成長させ、LED照明レンタル事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。2015年9月、電子雑誌出版の(株)ブランジスタがグループ2社目となる株式上場を果たした。常に新たな分野へ挑戦し続け、早稲田大学や東京大学・一橋大学などでの講演活動も積極的に行い若者の心を持ち前の情熱でリードしている。JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。

限界を超える高い目標で成長スピードを加速

水口 ナンバー2になり得る人材の能力を磨く鍛え方は、どのようにしていますか。

近藤 それは責任を持たせること。ナンバー2に限らずですが、「これはお前の仕事だぞ」と明確にすることです。ネクシィーズグループには、十数名の役員がいますが、確実に2年に1度、成績の下位2名を交替させます。業績が悪ければ交替させられるという状況は、いわば会社の危機に立たされた状況に似ています。もちろん交替したからといって次のチャンスがないわけではありません。こうした経験のなかで経営者を育てていきます。

清田 弊社にも十数年、働いてくれている人はいますが、当時は会社が小さかったですし、学歴で言えば高卒の人もいました。時が経って大卒の人が入ってくると、やはり能力ではそちらのほうがいいケースもあります。

近藤 高卒か大卒かというのは関係ありません。後から入社してきた人のほうが、能力が高いということは、先に入社した先輩の頑張りが足りなかったということです。大卒でも社会人になった時にはなんの実力もありません。能力というのは、経験と知識、それによってできる勘。これが何かを判断する時の決断力になります。ずっと一緒にやってきたのであれば、経験と知識と勘が磨かれているわけですから、本来は新人に負けるわけがありません。新人に負けるということは、自分の限界を突破するようなチャレンジを、いつの間にかできなくなってしまった可能性があります。プロである以上、いまの実力が判断基準になります。能力のない上司に部下はついていかないですし、社員が社長をたいしたことないと思えば辞めていきます。その意味では、経営者が一番輝いていなければいけません。

 一方で、今年の私は「任せる」ということをテーマにしています。私はグループの代表になって、各グループ会社にはそれぞれ社長を作っていきました。人材は置かれたステージによって変わります。グループ会社でも社長というポジションに就けば、社長らしく成長していくのです。調子がいい時こそ、任せて手柄を立ててもらえばいいのです。

 ですから、会議の時には報告・相談がなければ「じゃあよろしく」と出ていくようにしています。私を「グループ代表」と呼ばせるようにしたのも、それぞれのグループ会社の社長を「社長」と呼ばせ、自覚をもたせるためのものですから、いまのところ順調です。

水口 ステージが上がる時は、仕事の内容が変わりますが、そこでうまくいかない時があります。店長の時は結果を出していたのに、幹部に上がると店長のマネジメントができないケースもあります。

清田 茂 精華社長
きよた・しげる 1969年生まれ。19歳でテレマーケティング会社の営業の世界に入りトップセールスマン、トップマネージャーとして数々の賞を受賞。その後、取締役営業本部長を経て2001年7月に会社を設立。現在、有名商業施設などにバッグや雑貨などを取り扱う小売店やWEBショップなどを20店舗展開。

近藤 人を昇格させる時に、ただ任命するだけでなく、何をミッションとして与えるのか、何を期待しているのか、どうなってほしいからその役職を与えるのかを明確にすべきです。日々、話をすることも大事ですが、やはり任命する時に言うべきでしょう。まずはバシッと任務を与えて、業務の過程で任務が果たせているのかどうかを確認していったほうがいいと思います。

 最終的に強い社員を育てるのは会社のリーダーである社長の姿です。社員に「この人スゴイな」と思わせなければいけません。そのためには社長自身が圧倒的な努力とハイレベルなチャレンジをしつづけることしかないのです。常に限界突破を目指していくことが、社員のやる気に繋がります。会社の未来を切り開いていくのは私たち社長です。

 これからも、社員の成長のためにもお二人自身がチャレンジし続けて、頑張ってください。

2016年05月号 目次

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