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2016年06月号

会社が強くなる極意

近藤太香巳の 情熱経営塾 第12回 社員教育編②

パッションリーダーズとは?

近藤太香巳氏が主宰。起業家の応援組織として2011年4月に創設し、定例セミナーを毎月1回開催。人気のビジネスマッチング、アカデミー、すぐに参加できる様々な部会など、多彩なメニューで会員の積極的な成長をバックアップしている。東北、名古屋、大阪、四国、九州に支部を展開し、会員数は3000人を突破。http://www.passion-leaders.com/

若手経営者をゲストに迎え、ネクシィーズグループ社長の近藤太香巳氏が講師となって経営相談に答える、パッションリーダーズ×月刊BOSSのコラボ企画「近藤太香巳の情熱経営塾」。19歳で起業し、2004年に当時最年少創業社長として東証1部上場を果たした近藤氏は、まもなく社長歴30年。次世代の経営者たちに何を語り、伝えるのか。若手経営者必見の講義です。

最終回のテーマは社員教育編②「会社が強くなる極意」です。ゲストは、フロンティア社長の田中耕一社長とユビレジの木戸啓太社長です。

近藤 まずはお2人のビジネスの話をもとに強い会社について考えてみたいと思います。事業説明から話していただけますか。

田中 私は医療機器の商社を経営しています。医療機器は厚生労働省のさまざまな制約があるなかで、一般の業態とは少し違い、医薬品の販売や高度医療機器等、資格があってはじめて成り立つビジネスです。現在は全国4000社のディーラーに商品を卸しており、仕入れも2000社ほどの取引があります。また介護用品や福祉用具を高齢者施設に納めたり、病院等に人材派遣も行っています。現在はインターネットでの販売にも力を入れていて、ケンコーコムさんから商品を仕入れ、ネクシィーズグループのブランジスタさんにはWEBサイトのサポートをしてもらい商品アイテム数で日本一を目指しているところです。

田中耕一 フロンティア社長
たなか・こういち 1969年生まれ。大阪府出身。16歳から大阪佐川急便㈱にて4年間アルバイト勤務、その後ドライバーになり吹田市内を担当。25歳の時、同僚のドライバーと共に手に職を持とうと建築業界に転職し職人に。31歳で上京し株式会社フロンティア入社。2012年11月 同社 代表取締役社長に就任。その他2社の社長も務める。

古い商慣習に風穴 WEB展開で業界を制す

近藤 ITは、いままではIT企業だけのものでしたが、これからはすべての事業にITがかかわってきます。業界をITで制したところが強くなりますから、方向性としては合っています。

田中 医療業界は昔ながらの枠や制約があって、守られたフィールドで阻害されない業界です。古い商習慣が残っています。資格があって人体・生命・健康に関する分野ですから、誰でも簡単に参入できる業界ではありません。だからこそ、一気に変革し、新しくしていければ一人勝ちできるのではないかと考えています。

木戸 弊社はiPadを使ったPOSレジシステムの提供をしています。居酒屋やレストラン等の飲食店やアパレル・雑貨等の小売店舗で使われるPOSレジをiPadに置き換えることで、従来型のものより3分の1ほどにコストダウンできるサービスを提供しています。

近藤 外食の業界では、いまレジを変えることで劇的な変化が起こると話題になっていますね。

田中 東芝TECやカシオといったレジの老舗メーカーは低価格なものを開発していないのでしょうか。

木戸 大手も一部開発していますが、営業マンを大勢抱えていることもあって価格を急激に下げることが難しく、参入しづらいのかなと思います。

近藤 発明することは難しいけれど、すでにある既存の業界を変えていくような発見はできます。テクノロジーで新しいものに変革して老舗と勝負していく。業界を劇的に変える可能性があるものはおもしろいですね。

木戸 とはいえ競合も出てきていますし、まだまだ課題はあると感じています。

近藤 商品を普及させるのは、やり切るというパワーですから、営業力がなければいけません。会社を強くするためには、業界ナンバー1になることが大事です。営業をどこかに代行してもらうにしても、赤字覚悟で拡散させ、一気に市場を奪いにいく必要があります。ナンバー1の富士山は知っていても、2番目に高い山は知らないでしょう。一気に広める気概でいかなければ勝てません。 会社が強くなる極意として重要なのは、何がキラーカードなのか、だと思います。独自性という意味ではどのようなものがありますか。

田中 当社は最安値です。楽天市場さんなどを見ても、どの商品でもすべて1位になるように値段設定しています。商社の利点で、もともと仕入れ値の時点で小売業者よりも安く買うことができますので、利益は確保できます。

木戸 POSレジは競争が激しく、苦労している部分はあるのですが、外食分野では一番使いやすくて便利だと言っていただけています。オプションで利用できるハンディシステム等もあり評価をいただいています。今後さらに外食向けの機能を充実させていく予定でいますので、外食に特化すれば勝てます。

近藤 繰り返しになりますが、その外食で、いかにトップスピードで普及させるかがユビレジの課題ですね。そこをどのように解決しようとしていますか。

木戸 代理店施策であったり、大手の外食チェーンと、どのようなものを作って広げていけばよいのかをディスカッションさせていただいています。

近藤太香巳 ネクシィーズグループ社長
こんどう・たかみ 1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証1部に上場。プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ10社にまで成長させ、LED 照明レンタル事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。2015年9月、電子雑誌出版の(株)ブランジスタがグループ2社目となる株式上場を果たした。常に新たな分野へ挑戦し続け、早稲田大学や東京大学・一橋大学などでの講演活動も積極的に行い若者の心を持ち前の情熱でリードしている。JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。

部下のために自ら命を削る それがリーダーの資質

近藤 最初はトップ営業、社長自らがトップ営業マンにならなくてはダメです。私がLED照明のレンタル事業を始めた時も、電子雑誌の事業を始めた時もそうでしたが、最初の突破力はやはりトップ営業で実績を作る。そこから社員が営業に行けるわけです。やはり「あそこが入れているなら安心できる」というブランドが大事です。せっかくパッションリーダーズに入ったわけですから、会員の外食チェーンの経営者にどんどん会いに行ったほうがいいと思います。

田中 会社を強くするという意味では人も重要だと思います。経営者とそうでない社員の意識の差を埋めるにはどのようにされていますか。会社として目標を設定した時に、全員が意識を高く持てるわけではなく、何度言ってもミスが直らない社員も出てきます。

近藤 最初から意識の高い組織を作っておけば、入ってくる人間も良くなるものです。その根っこの部分を作るのはリーダーの役割ですから、社長が社員を食事に連れて行くなりして語っていく。説得するのではなく、こう期待しているんだと納得させて意識を変えていくしかないのです。何回話しても変わらないというのであれば、残念ですが無理なのかもしれませんね。いてもらったら困る、ということになってしまいます。

木戸 経営していくうえで、どう組織をつくり、解決したらよいのか、学習すればよいのかを課題に感じています。

近藤 これは近藤太香巳個人としての意見ですが、いわゆる「やり手」の近くにいること。やり手の人といれば、いろんな勉強ができます。20年前なら悩んでいたチエの輪が、いまなら2秒で外せるように、その経験者の話を聞いて学ぶことがポイントです。また、いろんな業界の人に会うことも大事です。Aという業界では常識なことでも、Bという業界では未だ知られていない未常識ということもあります。ビジネスとしても可能性が広がるわけです。知識を身につけるには成功者の近くにいることであり、かわいいやつだと思われれば助けてくれることもあります。私はパシリでもいいから傍にいることを大事にしました。 パッションリーダーズの何が魅力かと言えば、あのざっくり感です。学ぶ時は学び、遊ぶ時は遊ぶ。ビジネスだけならみんなガチガチになってしまいます。食事の時もゆるい話をして終わるときもあれば、真剣な話をして終わることもあります。そのざっくり感を通して仲良くなり、ビジネスの話もご飯を食べながら決まっていく。時間を一緒に過ごすことが大事です。

木戸 社員を育てていくという時に、いわゆる研修やOJTのほかに取り組んでいることはありますか。

近藤 能力とは、経験と知識と勘になります。知識がないと判断できませんから、研修等では知識をしっかり身につけさせなくてはいけません。先輩に付いて営業したり、研修を受けるというカリキュラムが必要です。あえて加えるならば、いかに社長が社員とたくさんの時間を共有し、いかに夢を語るかだと思います。いま社員は何名ですか?

木戸 26人です。

近藤 会社が劇的に伸びるかどうか、一番ポイントのところですね。20~30人ならギリギリ一緒に食事に行けますよね。そこで、「自分はこうなっていきたい」とか、「会社をこうしたい」という夢を語り続けるのがリーダーです。1回言っただけで社員が納得できているなどということはあり得ません。社員は、社長が何を考えているのかわからずに日々、黙々と仕事をしてもおもしろくありません。社長はこうしたいんだ、会社はこっちの方向に行くんだと、わかっているから意識高く仕事ができるようになるわけです。成功というのは、成功体験でできるわけではありません。そのチームの「成功できるんじゃないか」と信じるムードが成功に導きます。そのムードを作るのが社長の仕事ですから、どう盛り上げていくかが大事だと思います。

木戸 役員のやる気と一般社員との間の違いはなぜ生じるのでしょう。

木戸啓太 ユビレジ社長
きど・けいた 1985年石川県生まれ。2008年慶應義塾大学理工学部卒業後、同学部大学院に進学。09年大学院在学中にngigroupと未来予想社が主催する「学生ビジネスプランコンテンスト」でファイナリストになる。同年ホームサーチ社を学生起業、社長に就任。11年社名をユビレジに商号変更。全世界6億人が使うレジを目指す。

POSレジを価格破壊 外食産業で満足度1位を目指す

近藤 ギャップが生じるのは、社員と一緒に時間を過ごしてないからです。3ヵ月に1回、「がんばれよ」と言うのと、3日に1回、「なぜがんばらなければいけないのか」を話しているのでは、意識の違いは明らかです。それに社員を見ていたら、良くも悪くも社員の変化に気づくでしょう。何かあったのかなと感じ取れます。人間同士ですから、心許しあう関係が取れているかどうかは大事なことです。

木戸 意識して社員と一緒にいるようにしているのですか。

近藤 これは私のスタイルですから、すべての人に当てはまるわけではないかもしれません。ただ組織が強いというのは結束力があるということですから、私は最初から会社をファミリーだと思っています。だからうれしい時は思いっきりホメますし、ダメな時は思いっきり叱ります。おそらくネクシィーズの社員は私に相当怒られても、心のどこかで「社長は自分のことを嫌いにならない」と思っているんじゃないですか(笑)。この人間関係ができたら、好きなことが言えます。変に気を遣いすぎないことです。 リーダーの資質というのは、部下のために自分の命を削れるかというのがポイントです。私の尊敬する人には共通していることがあって、いい上司というのはうるさいし、めんどうくさいんですよ。だけど、ここぞという時には優しいし助けてくれる。上司は無理をしてでも、部下のために自分を犠牲にしなければいけません。どんな会社でも、やる気のある人で満ち溢れているほうが、やる気のある人が育ちます。そういう雰囲気作りをするのがリーダーです。強い組織はリーダーによって作られるのです。お二人も強い組織を作れるよう頑張ってください。

2016年06月号 目次

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