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2016年06月号

引退したアスリートの 就職不安を解消する ユニークな人材紹介業

小園翔太 アーシャルデザイン社長

就職難のアスリート

こぞの・しょうた 小さい頃からプロテニスプレーヤーを目指したが、ケガもあり断念。大学卒業後、人材紹介会社で20代専門人材紹介を行いトップセールスマンとなる。2014年、アスリートの就職を支援するためアーシャルデザインを設立、社長に就任した。28歳。

―― アーシャルデザインは、体育会系人材に特化した、人材紹介業です。どうしてこのような会社をつくろうと思ったのですか。

私自身、プロテニスプレーヤーを目指していましたが、ケガをしたこともあり、断念せざるを得ませんでした。でも学生時代も、アルバイトでテニスを教えていたため、プロと触れ合う機会も多かった。そこで彼らの引退後の実情を知りました。

彼らは小さい頃からテニスだけをやってきたため、引退したら進むべき道がない。そのため、ニートやフリーターになっている人たちがたくさんいた。これを何とかしなければ、子供たちがテニスプレーヤーになろうなんて思うはずがない。彼らを支援する仕事はできないものか、と漠然と考えていました。

その後、ジェイックという会社に勤めることになったのですが、この会社は、フリーターを対象に研修を行い、社会人の基礎を教えたうえで中小企業とのマッチングをするビジネスを行っていました。

アスリートを対象に、同様のビジネスを行うことはできないだろうか。そう考えて、当初は会社の中の新規事業として提案したのですが、うまくいかない。それで起業を決意しました。

―― 何もないところからのスタートです。どうやってアスリートや、紹介する企業を集めたのですか。

企業については、前職でつくったネットワークがありましたから、それほど心配はしていませんでした。問題はアスリートです。飛び込みで大学の体育会に行って営業活動しても、うまくいかないことは目に見えている。そんな時、先輩の紹介で、エイチアイエデュケーションの小林一光社長と出会いました。小林さんは元プルデンシャル生命の伝説的な営業マンで、エイチアイエデュケーションでアスリートに対する研修事業を行うなどアスリートのネットワークを持っていて、約100の大学体育会と密接な関係にある。そこで、エイチアイエデュケーションと提携し、ネットワークを利用させてもらうことにしたのです。

会社設立は2014年10月。実質的な活動はまだ1年ですが、新卒だけでも50人ほどのアスリートを企業に採用してもらっています。

今後は地方学生に対して、もっと積極的に関与していきたいと考えています。体育会系の学生は、アルバイトができないため、就職活動のために何度も上京することが困難です。ですから、その地域でのマッチングを増やしていきたいと考えています。

ストレス耐性が魅力

―― アスリートならではの特徴とはなんでしょう。

なんと言ってもストレス耐性が強いことです。アスリートとして、大変なプレッシャーと戦ってきた。これは仕事においても活かすことができます。またアスリートは、日々、PDCAを繰り返しています。自分のスキルを上げるために、計画を立て、練習、チェックし、改善する。これが身についている。これはアスリートの大きな強みです。

―― 逆に弱点は。

目標が定まらないと動かないことですね。アスリートとして、常に目標を立て、それに向けて努力することが習性となっている。それだけに、明確なゴールがイメージできないと、なかなかやる気が起きません。でもこれは、目標さえ決まれば、全力を尽くすことを意味しています。ですから採用した企業の側には、社員に対して明確な目標を設定することが求められます。

もうひとつ、アスリートならではの弱点に、自己否定が挙げられます。幼い頃からスポーツしかやってこなかった人の中には、自分からスポーツを取ったら何も残らないと思っている人が多い。自分自身に自信が持てないのです。そういう人に限って、自分の努力の過程に気がつかない。先ほど言ったように、PDCAを繰り返してきたことは、ビジネスの世界でも十分通用する。ですから当社では、研修を通じて、スポーツでやってきたことは仕事にも通用することを教え込むことにしています。

―― 実際に採用した会社からの評価はどうですか。

非常に高いです。そのため、採用は当社にしか頼まない、といってくれるところもありますし、一度利用した会社は、ほぼ例外なく次の採用でも利用してくれています。それだけ、以前に採用した人材の評価が高いということだと思います。

当社の場合、紹介先は中小企業が中心です。それには理由があって、中小企業のほうが、アスリートとの相性がいいからです。アスリートの場合、どんな仕事をするより、誰と仕事するかを重視する傾向にあります。どうせ働くなら、意気に感じて仕事をしたい。その意味で経営者との距離が近い中小企業との親和性は高い。それが入社後のミスマッチの少なさにつながっているのです。

―― 今後も目標は何ですか。

「アスリートエージェント」でありたいと思っています。アスリートが就職を考えた時、あるいは就職に困った時、真っ先に当社を思い浮かべる存在となりたいと考えています。

それと、セカンドキャリアという言葉もなくしたいですね。アスリートが引退したあとに新しい人生が始まるわけではありません。引退後も含めての人生です。その心配がなくなれば、アスリートは思う存分、競技に打ち込むことができる。そういう環境ができれば、日本のスポーツのさらなる振興につながると信じています。

2016年06月号 目次

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