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2017年01月号

内外為替一元化 コンソーシアムの目指すもの

沖田貴史 SBI大学院大学 特任教授

おきた・たかし 1977年石川県生まれ。98年一橋大学在学中に、サイバーキャッシュ株式会社(現ベリトランス株式会社)の立ち上げに参加。2005年から10年間、代表取締役を務め、香港上場やアジア展開を加速。2016年5月より、SBI Ripple Asia株式会社 代表取締役。主な公職に、金融審議会専門委員など。

先々月号でご紹介したブロックチェーン技術等を活用した「国内外為替の一元化検討に関するコンソーシアム」が、10月25日に正式に発足した。

8月のコンソーシアム構想発表段階では、15行ほどの参加を見込んでいたものの、地方銀行を中心に反響は大きく、発足時点から、42の金融機関に、参加金融機関として名前を連ねていただくことになった。

そのコンソーシアムの目的だが、今回は、ブロックチェーンに代表される最先端技術を活用するものの、それらはあくまでも手段であり、「真に効率的な決済を実現する」というのが究極的な目的である。また、それは誰のためかというと、参加銀行とその顧客である。先端システムのメリットを、各銀行が一義的に享受し、それを利便性という形で、顧客に還元していく。これまでブロックチェーン技術は、実証実験にとどまることが多かったが、単なる研究対象としてではなく、実利用を行うことで、社会全体がメリットを享受していくということを目指している。

より具体的には、コンソーシアムの名称にもあるように、「国内外為替の一元化」であり、国内外を問わず「24時間リアルタイムでの決済」の実現を目指していく。また、最新技術により、可能になった送金コストの削減を、銀行の利ざや改善だけではなく、1000円以下などの超少額決済などの手数料を大きく見直していくことで、現在、現金決済が多い領域で、新たな市場を開拓していくことを目指している。

ただ、これらは一朝一夕に実現できるものではない。よって、まずは2017年3月までに、プルーフ・オブ・コンセプト(PoC)と呼ばれる実証実験を行うことで、実現化に向けた歩みを進めていく予定だ。

具体的には、「RCクラウド」というこのコンソーシアム専用のプラットフォームを米国Rippleの技術基盤の上に構築・準備を行っていくことを計画している。

本来、Rippleのソリューションを利用するには、各銀行が「Ripple Connect」と呼ばれる通信ソフトを導入する必要があるが、既にオープンシステム化が進んでいる欧米銀行とは異なり、メインフレームを基盤とする邦銀においては、専用サーバーの構築等の導入が必要でありシステムにかかる費用や期間が膨らむ恐れがある。

この負荷を軽減するために、個別行がバラバラにシステム導入を行うのではなく、コンソーシアムで一元的にシステムを構築することで、個別行の負荷軽減を狙っていく。

また、このコンソーシアムでは、米国Rippleが本来提供している外為取引だけではなく、内国為替まで一元的に取り扱うことを予定している。

ネット銀行等の一部の銀行は、既に自行内であれば、24時間のリアルタイム送金が可能になっているが、早ければ17年中にも、一部銀行間には限定されるが、銀行をまたいだ決済も、24時間リアルタイム化が推進される。

これまで、どちらかというと、米国で普及したモデルを輸入することが多かった日本のFinTechシーンに、日本発のソリューションが加わる日も、そう遠くないと信じている。

2017年01月号 目次

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