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2017年02月号

【IR CLIP】AWSホールディングス

証券コード: 東証マザーズ 3937

フィリピンでのオフショア開発に強み~自動運転車関連や医療データ分析などの新領域も開拓

2016年12月、アメリカITのアップルが、自動運転車の技術開発を進めていることを初めて公式に表明し、話題になった。全てのものがインターネットとつながる「IoT」の進化は、例えば、手元のスマートフォン(スマホ)を操作することで、外出先から自宅の鍵を確認したり、風呂に湯を張ったり、といったことができるようになった。

〝昨日まで考えられなかったことができるようになる〟とも言えるほど熾烈なITを活用した技術開発。勝ち残りには、優秀な技術者(SE)の確保や最新の技術動向のキャッチアップが欠かせない。

そこで、業務上不可欠な英語が公用語の1つになっているフィリピンに拠点を持ち、オフショア(海外子会社などへシステム開発や管理などを委託する手法)でのITソリューション開発(グローバル事業)を主力に展開するのが、AWSホールディングス(HD)である。比較的底堅い企業のシステム投資に支えられ、ITソリューション開発や医療機関のレセプト点検ソフト(メディカル事業)提供などの既存事業は2ケタの伸びを維持する。一方で、自動運転車のシステムテストや医療ビッグデータの解析といった新しい領域も育てている。

入社3ヵ月で、日本語や情報処理をマスターするフィリピンのSE。

2017年中にアメリカでの拠点開設を目指す。これが実現すると、アメリカが持つ巨大なマーケットと最新の技術動向などを把握できることから、成長の加速につなげたい考えだ。

優秀なフィリピンのSE

AWSHDが持つ競争力の1つが、フィリピンの現地子会社に、SEが750人以上在籍している点。しかも、非常に優秀な人材ばかりなのだ。

「現地では、春と秋に理系大学や大学院の新卒者が社会にでるのですが、計4000人の学生が私たちの会社を希望してくれます。その中から、厳正な選考をしまして、毎年200人程をお迎えしています」(青木正之・代表取締役社長)

彼らは、日本の東京大学や京都大学卒業に匹敵するエリートで、指導教授がAWSHDを推薦するケースも多い。入社後3ヵ月間、日本語や情報処理の研修を重ね、最後には、各自が考えるビジネスプランについて、役員の前でプレゼンテーションをできるまでになる。

「フィリピンは、ソフトウェア開発のビジネスでは実はノーマークでした。しかし、英語が公用語の1つであり、オフショアで必要になってくる『ブリッジSE』が不要になります。また、何か問題が発生すると調整のために何度も日本から現地へ担当者が向かうのですが、私たちは、英語と日本語ができるバイリンガルSEがオンサイトで顧客の中に入って開発を行いますから、無駄な費用がかかりません。その上、受注の漏れなども少なくなり、結果として収益率の向上に寄与しているのです」(青木社長)

新たな領域も着々と

AWSHDでは、好調な国内外の大手電機や車載機器メーカーを顧客とするITソリューション開発、全国1万2500の医療機関で導入されるレセプト点検ソフト以外に、次世代の収益事業を育てる。

「これから強化していく領域は『3A』と呼んでいるのですが、〝Automation〟(自動化)、〝Analytics〟(解析)、〝A.I.〟(人工知能)です」(青木社長)

まず、自動化は、主に自動運転車のシステムテストの強化だ。自動運転車では、そのプログラムが1億行にも上り、どこかにバグ(プログラムの誤り)があると正常に作動しない。そこで、自動でバグを検出するシステムを開発し、提供している。今の主流である人間の目視による確認と比べ、低コストかつ確実なテストが期待できる。

解析は、主に医療関連のビッグデータを念頭に置く。既に医療機関へ導入されているクラウド版レセプト点検ソフトから、医療機関の承諾を受けた上でアクセスし、得られる膨大なデータを基に、例えば年齢別、地域別、疾病別、投与薬剤別など、様々な切り口で分析を加える。少子高齢時代に突入し、効率的な医療サービスの提供に役立つと期待され、行政の健康関連の部局や製薬会社などからの依頼が見込める。

さらに、人工知能に対する〝教育〟を施すツールを開発。このことで顧客に合う仕組みを人工知能のシステムに組み込み、協業し新たなサービスモデルを生んでいく。

また、17年中を目標に、アメリカに拠点を開設する準備を進めている。

「アメリカには最先端のテクノロジーがあり、日本の相当先を走っています。マーケットの規模も大きいですよね。ですので、更に業容を拡大するきっかけになると思うのです」(青木社長)

めまぐるしく進化するIT技術。明日を変える大きな力になり、日本社会や各ステークホルダーからの期待に応えていく。

2017年02月号 目次

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