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2017年03月号

事業継続の先にある事業継承のさまざまなかたちを提案

西堀 敬 日本ビジネスイノベーション社長

にしぼり・たかし 1960年、滋賀県生まれ。83年大阪市立大学卒業後、日立造船入社、本社財務部にて輸出金融・外為業務に従事。87年和光証券(元・みずほ証券)にて国際企画部、スイス現地法人などで、国際金融業務を担当。96年ウェザーニューズ社にて財務部長として上場準備に携わる。99年米・eコマース会社にてCOO兼CFOとして日本での業務立ち上げ。2000年IRコンサルティング会社取締役。11年から現職。15年投資情報サイト「IPOジャパン」編集長を兼任。

平均52歳でIPO

── 基本的な業務の内容について教えてください。

M&Aの仲介や、助言、IPO支援などです。なかでも、力を入れているのが事業継続支援です。会社の寿命は30年とよく言われますが、中小企業では会社の寿命と社長の寿命は同じようなものです。

これまでも私はずっとIPO関係のコンサルをやってきていますが、IPOをした会社を見ると上場したときの社長の平均年齢は52歳ぐらいなんですね。これはここ15〜20年ぐらい変わっていません。また、会社設立から上場までの期間はおよそ20年。

つまり、設立から20年、社長の年齢が52歳で上場してくるというのが平均なので、30歳ぐらいで独立して、20年ぐらい事業を継続してIPOするというのが、平均像としてあるんです。

そして、IPO後10〜20年間、経営をすれば、社長の年齢も平均で60歳以上になり一線を退くことを考えはじめるのが一般的です。会社設立から30〜40年というのが、経営者の世代交代の時期で、世間でいう会社の寿命になるわけです。

会社というのは、10年継続する割合がおよそ1〜2割で、残りの8〜9割は設立後10年以内に消えてしまいます。最初の10年をクリアし、そこからさらに成長できればIPOも見えてくるというわけです。

もちろん、上場を望まない会社もありますが、設立から30年ぐらいすると衰退していくか、逆に成長していればもう一度上場のチャンスがめぐってくる――。そういった会社の設立から、経営のそれぞれのポイントポイントの見極めをして、事業継続をお手伝いしているのが当社です。

── 事業継続支援とは、具体的にはどのようなことでしょうか。

事業承継で後継者がいないという場合は、M&Aや業務提携先を探す。社員に引き継がせたいというケースもあるので、そういった場合は株の譲渡のスキームを考えます。また、ニューマネーが必要であれば、投資家を探すなど、どう事業を継続させるかを考えていきます。

また、事業継続や事業承継の観点からIPOというのは有力な方法なんですね。実際、M&Aで大手に売却した会社はその後も儲かっている会社が多く、成長性も期待できます。そうした会社であればIPOの提案もしています。

── 中小企業がIPOするのは大変そうですが。

実際に年商100億円ぐらいの会社で、純資産で10億〜20億円、無借金の会社という中小企業はけっこうあります。とくに地方の有力企業に多いんですね。こうした会社が親子で事業承継しようとした場合、相続税の負担は大きく、株を売って相続税を払おうとしても、実際にその株をどこに引き受けてもらうかが問題です。しかし、IPOすれば最初の売り出しや公募、また、市場で株を売却していけば相続税の準備ができます。3代目ぐらいになってしまうと、創業家の持ち分は減ってしまうかもしれませんが、企業は社会の公器になり、それはそれでいいのではないかと思うんです。

M&Aにこだわる必要はない

── M&AとIPOができる会社というのは重なりそうですね。

オーナーさんの目的は、自分の会社の看板や従業員の雇用をきちんと残したいということがほとんどです。M&Aが可能な会社であれば、IPOも十分可能性があり選択肢の1つになります。われわれがお手伝いしたケースでも、IPOで株主は変わっても、経営者はそのままという会社もあります。

事業承継問題では「後継者がいないから、引退ですね。引退だから株も譲る」と考えがちですが、まず、事業を継続するということを前提に、どういう選択肢があるのかという事を考えるべきだと思います。方法はいろいろあって、何が何でもM&Aでなくてもいいと思います。

昨年、マザーズに上場した会社で、税引き後利益が1億〜2億円という会社が数十社ありました。このぐらいの利益というのは町の工務店でも出る数字です。

こうした会社はいくらでもある。ビジネスモデル的にIPOにフィットしないと思っているだけで、IPOできる会社は世の中にごまんとあります。ただ自分たちは、IPOは難しいと思い込んでいるだけなんですよ。

── IPOをする場合、成長性が求められるのではないですか。

それはマーケットで投資家が、判断することです。むしろいまのカルチャーやマネジメントを変更しないで会社を継続していくための上場があってもいいではないかと思うんです。もちろん、投資家からすれば、そうした会社は面白くないかもしれません。しかし、民営化された郵政やJR九州に、成長性があるでしょうか。しっかりと利益を出していれば、問題はないのではないでしょうか。

IPOというと、とかく若いベンチャー経営者のようなイメージですが、先ほどお話ししたように、IPOした経営者平均年齢は50代なんですから。実際、今、相談を受けている会社でも息子さんに事業承継を考えている社長は、当初はIPOはめんどうだからと敬遠していました。しかし、企業評価をすると、40億円あるということがわかり、息子さんに譲る際の相続税を考えてIPOを検討しています。

上場の潜在能力を持った会社というのはたくさんあって、それは地方にもあります。地方の会社の方がそういうことができる会社が多いんではないかと思います。

2017年03月号 目次

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