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2017年05月号

銀行のFinTech本格参入で 変わる決済シーン

沖田貴史 SBI大学院大学 特任教授

おきた・たかし 1977年石川県生まれ。98年一橋大学在学中に、サイバーキャッシュ株式会社(現ベリトランス株式会社)の立ち上げに参加。2005年から10年間、代表取締役を務め、香港上場やアジア展開を加速。2016年5月より、SBI Ripple Asia株式会社 代表取締役。主な公職に、金融審議会専門委員など。

3月2日、ブロックチェーン関連技術を活用する新たな決済インフラの構築を目指す「内外為替一元化コンソーシアム」が、実証実験の実施を含む、活動の成果を発表した。

昨年10月に42の金融機関とともに発足した本コンソーシアムだが、2月末時点で、会員銀行数は47行まで拡大した。構想段階では、当初15行を計画していたので、金融機関のブロックチェーンに対する関心や、新たな顧客ニーズに対する必要性の高さを証明したともいえよう。

2017年は、日本における仮想通貨・ブロックチェーンの実用化元年とも言われているが、今回の実証実験も、早期の商用化を見据えた試みである。

そのため、単にユースケースをこなすだけでなく、各行で自由に操作ができる自由度の高い環境を構築したことが今回の特徴である。また、基盤となる米Ripple社の銀行間決済ソリューションRipple solutionの導入負荷を軽減する仕組みである「RCクラウド」についても、本番と同等の仕組みを構築し活用した。

このRCクラウドは、いわばコンソーシアム会員専用のプライベートクラウドと言えるもので、「世界初・日本発」の技術である。今後、米国への逆輸入やアジアへの展開も検討されており、この内容は、CNBCはじめ、海外メディアからも注目を浴びている。

また、もう1つの「世界初・日本発」の事例は、内為分野への応用である。こちらについても、海外メディアで大きく喧伝され、アジアへの展開可能性に関する議論が始まっている。

 これだけ聞くと、日本が技術でリードしているように見えるが、以前にも取り上げたように、外為だけでなく国内送金にも応用することになったのは、現行の仕組みが利用時間やコストの観点で、非効率な部分が、決して少なくなかったためである。

それらの要因もあり、日本のキャッシュレス化は、約20%にとどまっており、米国はもとより、既に50%を超えている中国や韓国と比較しても、現金社会にとどまってしまっている。

これを打開すべく、コンソーシアムにおいて議論を進める中で、参加行様主導で出てきた意見が、「オープンAPIの活用」と「モバイルアプリ」である。

「銀行のオープンAPI」は、銀行以外の事業者も銀行が保有するデータやシステムを活用することを容易にする仕組みであり、オープン・イノベーションを加速するための手段として、現在銀行界において、大いに議論がなされている。日本においては、まだまだ利用するFinTech企業が少ないという課題があるが、これをむしろ銀行業界内でも活用していこうという考えだ。

また、モバイルでの送金アプリは、米国のVenmoや中国のAlipay、スウェーデンのSWISHのようなスマートフォンを使った個人送金を可能とするサービスを念頭に入れた議論がなされている。

これらのサービスによってメッセンジャーでやりとりするような手軽さで、文字情報や写真だけでなく、お金のやりとりも容易に行える。

それを銀行が主導することで、決済シーンは大きく変わるに違いない。

2017年05月号 目次

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