有料購読サービス終了のお知らせ

BOSS ONLINE

2017年09月号

注文、リピートを増やす 顧客の「感情的価値観」を 高めるために必要なこと

川﨑直人 日本シュレッダーサービス社長

創業80年の歴史

── 創業80年と歴史のある会社ですね。

そもそもは製紙原料商で、一般的には古紙屋さんといわれるものです。私の母方の祖父が1933年創業し、東京都心で古紙を集め足立区の工場でごみを取り除き、リサイクルの原料として問屋さんに納めていました。

社名は「浦辺商店」だったのですが、何の事業かわからなかったので私が入社したときにサービスブランドの「機密文書110番 抹消仕事人」を付けて営業していました。そして、2007年に私が社長になったのを機に社名も今の「日本シュレッダーサービス」に変えました。

── 学校卒業後、すぐにこの会社に入ってということですか。

かわさき・なおと 上智大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行。窓口、融資業務などを経て法人を担当。企業の経営立て直し業務に従事。2003年退職し、浦辺商店(現・日本シュレッダーサービス)に入社。07年代表取締役に就任。

大学卒業後就職したのは、第一勧業銀行、現・みずほ銀行です。浦辺商店は祖父が創業し、2代目社長は養子に入った伯父が就き、父は専務でした。しかし、事業がだんだんと厳しくなり、立て直しができないかとなり、銀行マンだった私に白羽の矢が立ったわけです。私自身も銀行の法人担当として、老舗店や企業の立て直しに力を入れてやってきたので、伯父も父も全部任せるというので、使命感というか、会社への恩返しという気持ちもあって引き受けました。それに銀行マンとして会社の経営再建などの経験もあったので、少なからず自分でも経営をやってみたいという気持ちもありました。

── 当時の会社の状態は、どんな感じだったのでしょうか。

私が入社したときには業務の中心が古紙回収から機密文書の処分へとなっていました。機密文書処分は100%が銀行の下請けでした。しかし、金融ビッグバンなど銀行の再編が進む一方、個人情報保護法の施行もあり、売り上げの90%を占める銀行がこうした文書の処分をグループ会社に集約するという見直しが行われていました。そこで新たな事業展開が必要となり、情報セキュリティのサービスを銀行以外のお客さまに使っていただこうと作り替えたのが「抹消仕事人」です。まさにゼロからのスタートでした。

スタッフは全員が正社員

── 具体的なサービスは、どのようにしていったのですか。

この事業を始めるにあたっては、個人情報保護法の施行でニーズはあると予想していました。そこで同業他社のサービスを見渡してみると、お客さまのニーズに十分に応えられるサービスはありませんでした。例えば、料金体系にしても定価表示もなく、見積りだけ。料金は箱の数や作業負担によって決められていました。つまり、業者側の都合が優先という状態だったのです。加えて、サービス内容の個別相談や回収を依頼しても対応が遅かったり、小口だと別途集配料金がかかるなど、明確でわかりやすいサービス内容、料金体系の表示ということが行われていませんでした。そこで当社では05年に料金体系を明確にして、ホームページで公開したのです。

── 現在の売り上げはどのようになっていますか。

年間売上は、およそ1億8000万円です。内訳は情報抹消の手数料が90%で、古紙の販売が10%になっています。私が引き継いだ当時の売上額は6000万円ほどでしたから3倍になり、ここ6年は利益も出ています。

── 営業はどのようにされていますか。

新規顧客は基本的にはホームページと電話によるものです。当初から訪問営業は難しいと思い、ダイレクトマーケティングしかないと考えていました。そこで通信販売のノウハウから勉強し、ホームページの閲覧数、問い合わせから何件、注文につなげられるかを出して、そこからどうしたら問い合わせに繋ぎやすいホームページにできるか。問い合わせから注文に結びつける電話対応とアフタフォローと、徹底してお客さまに喜んでいただけるよう考えました。

── サービスの中で他社と違うところはどういったところですか。

回収から工場内のスタッフは、すべて正社員です。繁忙期でもパートやアルバイトは使っていません。やはり、機密文書を扱うので、そういう意味でのクオリティを高くしています。もちろん、ISO/IEC27001を取得しています。

通常のサービスでは、ファイル、バインダー、クリップなどでとめたまま丸投げで対応しています。これは楽と好評なのですが、このサービスでは分別作業で段ボールをあけなくてはなりません。そのため一切外部の目に触れさせず、段ボールごと処理できないかというお客さまの要望から「未開封処理」も行っています。ただ、このサービスでは分別だけはお客さまにお願いしています。

──今後はどのように事業を展開しようとお考えですか。

お客さまに喜んでいただける、もう一度使いたいと思っていただけるのが一番の強みであると思っています。機能面でのセキュリティの高さ、価格面で自信は持っています。しかし、日本一、世界一になれるかといえばこれは現実的ではありません。そうであるならお客さまの声を大切に、喜んでいただける「感情的価値」をもっと高めていきたい。そのためにはマンパワーが重要になるので、人をどう育てていくかということが課題です。スタッフのモラルとお客さまへの思いで、サービスの質が変わるので、この点に力を入れています。その方法として、自分たちの職場環境をよくして、社員が楽しく快適に仕事ができるような会社にしていきたいと思っています。

2017年09月号 目次

試し読み
雇用のパラダイムシフト 人材の流動化こそ安定に繋がる
胃から腸、人体から産業用、 地球規模へと広がるシームレスカプセルの可能性
生損一体とオリジナルで 新たなニーズを掘り起こす
IR CLIP インソース
注文、リピートを増やす 顧客の「感情的価値観」を 高めるために必要なこと
FinTech(金融科技)大国としての中国
生田正治