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2017年11月号

民泊新法施行を控え、矢継ぎ早の提案で一気呵成に突っ走る

楽天LIFULL

米台中最大手と業務提携

これまではっきりとしたルールがなかった民泊。しかし、「住宅宿泊事業法(新民泊法)」によって、これまでと違った動きが見え始めている。現在、稼働している民泊の物件数

は、民泊データ分析を手がけるメトロデータによると、2016年11月で4万件を突破し、右肩上がりでその数は増え続けてきた。しかし、民泊新法によって規制がかかる懸念が

出たことからいくぶん伸びが鈍化してはいるようだ。とはいえ、物件数は確実に増加しており、なかでも、民泊新法施行を控え、京王電鉄、みずほ銀行、JTBなどあげればキリがないほど大手の動きも活発になってきている。

「オーナーのサポートをしたい」と太田社長

そんななかで積極的な動きを見せているのが楽天だ。

具体的には、6月22日に民泊事業参入のため不動産事業や不動産・住宅情報サイトなどを運営するLIFULLとの共同事業会社「楽天 LIFULL STAY(以下=楽天ライフル)」を設立した。

「ライフルさんの持つ物件のオーナーのなかで、民泊新法のフレームのなかで民泊事業や物件の運用をしてみたい方に弊社のプラットホームを使っていただくというのが基本的なビジネスです」

と話すのは、太田宗克楽天ライフル社長。

この設立発表直後の7月3日にオンライン旅行予約大手の米エクスペディアグループの民泊仲介サイトを運営する「ホームアウェイ」、同月20日には台湾最大の民泊サイトを運営する「アジアヨー」、8月2日には中国最大級の民泊プラットホームを運営する「途家(トゥージア)」と矢継ぎ早に業務提携している。

「民泊事業での物件の管理運営はオーナーご自身で行う、私たちにご依頼いただくなどやり方はさまざまですが、私の思いとしては単純に物件をお預かりして民泊物件のプラットホームになるということだけでなく、民泊物件の創出から運営まで一貫して行うことが必要だと思っています。民泊は日本では新しく始まったばかりのビジネスですから、一貫したサービスを行うことでオーナーのみなさんが民泊ビジネスに入りやすい環境を作ることも、われわれの仕事だと思っています」

単に民泊のポータルサイトを作って、そこに物件登録をしてもらってというのではなく、約800万件の不動産物件と2万2000あまりの不動産加盟店も持つライフルと手を組んで、まずは物件の〝仕入れ〟を押さえ、楽天が持つ9000万人の会員をベースにサービスを提供。そのうえで、豊富な民泊物件数をバックにして、海外大手と提携し、一気呵成に攻勢中だ。

もちろん、ライフルに登録している物件オーナーのすべてが民泊に参入したいというわけではない。そこで全国各地でセミナーなどを開催、民泊ビジネスをやってみたいというオーナーや企業の掘り起こしも並行して進めている。

代替えでない民泊

一方、空き家の民泊への活用について太田さんはどう考えているのか。「民泊新法の180日規制というのは地方の空き家の民泊利活用に向いている」としたうえで、こう話す。「とくに空き家にフォーカスしているわけではありませんが、空き家活用でしっかりとしたサービスができれば利用者はもちろんオーナー、各地域とみんながハッピーになれると思います。私たちもそこは目指していきたいし、空き家の利活用は重要なテーマです。ただ、これを円滑に進めるには1件1件の物件で民泊物件として売るのではなく、エリアで考えなくてはならないと思っています。しかし、こうしたことは1人のオーナーでやるのは難しい。そこで私たちが入って、行政とも連携をとりながら広い視点での物件の掘り起こしが必要だと思っています。そのために物件の掘り起こしから集客、管理運営まで一括で行うということまでやっていきたい。都心部だけでない地方についても、包括的に受けられるような運営体制を考えていきたいと思っています」

一方、大都市圏においてはこの180日制限が民泊のネックになるのではないかと懸念され、その対策も準備中だ。

「対策としては簡易宿泊所のライセンスを取る、または民泊+マンスリーマンションの併用などを考えています。マンスリーマンションのポータルも作ろうと進めていますが、これと民泊とをシームレスでつながるようにしようと考えています。たとえば、最初はマンスリーマンションで掲載しておいて、マンスリーの予約と予約の狭間に2週間空いてしまったというようなところを、民泊として使うというものです。価格設定をどうするかなどの課題はありますが、こうすることで利回りが求められる投資型マンションも、民泊物件として使えるようになると思います」

民泊新法後の民泊、空き家ビジネスの可能性について、太田さんは次のように話す。

共同事業会社設立の会見(左から山田楽天副社長、太田氏、井上ライフル社長)

「民泊仲介プラットホームだけのビジネスとしてだけ考えれば、物件を自動的に登録して、販売だけしていけば、人をかけないビジネスモデルで、利益率も高くなると思います。しかし、民泊ビジネス全体としてとらえた場合、民泊という新しい動きを単にホテルの代替えではなく、もっと意味のあるものにしていきたいと思っているんです。その中には人口減少による訪日外国人の取り込みや空き家の利活用など国が抱えている問題を解決していきたいという思い。また、集客においても東京、大阪、京都といういわゆるゴールデンルートを回って帰っていく外国人をもっと地方に分散してもらえるようにして、地方経済効果をもたらし、地方創生につながるようにしていきたいという思いもあります。そのためには民泊仲介のプラットホームだけでなく、物件の創出を担っていくことが大事だと考えています。もちろん、ビジネス的な利益は重要ですが、それだけにとどまらない広がりが持てれば、民泊や空き家ビジネスをやろうという人が増えてきて、大きな流れになっていくと思います」

空き家ビジネスとしての民泊、インバウンドの本格的な動きは、いま動き出そうとしている。

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