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2017年12月号

先生! ビットコインは大丈夫ですか?

岩下直行・京都大学大学院教授に聞く

乱高下をしながらも、右肩上がりで値段を上げるビットコイン。期待と同時に常に危うさがつきまとう。これからビットコインを始めても大丈夫なのか? 日銀の初代フィンテックセンター長を務め、日本のフィンテック第一人者である岩下直行・京大教授にビットコインを取り巻くいまの状況について聞いた――。 (2017年10月5日取材)

■価格まで上がった要因とは?

今年の始めごろ1BCT=120

0㌦ぐらいだったものが、3ヵ月か4ヵ月で5倍の5000㌦近くまで上昇しましたが、ビットコインをめぐる環境が素晴らしく変化したかというと、そうではありません。実際のところ、ビットコインの値段が上がった要因ははっきりしていません。やはりなぜ5倍になったのかの解明が必要で、そこからいまの価格の水準が妥当かどうか。これからどうなるかというような予想が出てきますが、いまはそれがありません。

1つの仮説はICO(Initial Coin Offering)によって上がったというものです。

ICOとは企業やプロジェクトが自らのトークンというものを発行して資金を集める仮想通貨を使ったIPOのようなものです。このICOが4月〜5月に伸び始め、半年足らずでおおよそ2000億円の資金調達をしました。

このICOは売上勘定で、発行する側は単に売り上げを作るようなもので、いわば打ち出の小槌を使って資金を作るようなものです。

一方、発行されたトークンには何の価値もない。しかし、そうしたトークンにはセカンダリ市場があって、そこでは100億円のトークンが200億円で売れたりする。そうなれば300億円、400億円になるかもしれないと、みんな持つようになる。

このICOで使われているのがイーサリアムという仮想通貨で、ビットコイン→イーサリアム→トークンと換えてセカンダリ市場でトークンを売却すれば大儲けできる。これらの売買がさまざまなかたちで行われ、ニューマネーが仮想通貨市場に流れ込み価格が上がったのではないか。

■ICOとビットコインの関係

ビットコインの1つの特徴としてあげられるのは、時として政治や金融制度と対立や競合することがあるということです。言ってみれば、当局の目をかすめるように動いて、値上がりはするけれど、逆にしっぺ返し的に下落することもあるということです。

それが現実に行われたのが中国です。中国ではICOが全面禁止になったり、仮想通貨取引所が一時閉鎖になっています。中国は統計を出さないので詳細はわかりませんが、相当ひどいことが行われたようです。

とはいえ、これがきっかけで価格が下落しましたが、3000㌦ぐらいのところで抵抗線があって、価格を戻しました。しかし、この状態は危うい均衡で、これで未来永劫安定するとは言えません。これが常態だ、という意見に私は賛成できません。いまの価格はICOなど特殊な状態に支えられたバブルで、値段も上がったものだと思っています。

■ビットコインは「金」と同じ?

私はデジタルゴールドという考え方をあまり信用していません。

なぜかというとビットコインの発行上限は2100万BTCで、それは100年後ぐらいと言っていますが、これは「します」と言ってるだけで法律でもなんでもない。いわばこれはビットコインを支えている人たちが、合意をすれば変えられるということなんです。

これがとてもクリアになったのが8月の分裂騒動です。分裂自体は無難に乗り切り、値段は上がっていますが、ビットコインのマイナー・開発者・事業者など関係者の話で状況を変えることが実際に起こったわけです。金はオリンピックプール3杯といわれますが、これが4杯、5杯と増えるようなもので、どこに希少性があるのかと思うのです。

ビットコインの希少性は、一種の約束で2100万BTCということが維持される保証はないのです。

■金融庁の規制はどうなる?

仮想通貨、ビットコインで起こる問題は、1つの国で解決できるものではありません。ビットコインの取引所は世界中にあって、日本で取り引きに関する法律を作っても、そんなものは日本以外で取り引きする人には通用しません。

そういう意味では日本政府も政策的にコントロールして安定化させようとか、一定方向に向けさせようというようなことを考えているわけではなく、1つのイノベーションとして今後どうなるかを見ているということではないかと思います。

ただ、大事なことは消費者保護とマネーロンダリング対策で、そこを担保することが、いま、政府としてやるべきことだと思います。

投資については、こうしたことを踏まえたうえで、自己責任で行ってください。

2017年12月号 目次

試し読み
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