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2017年12月号

仮想通貨において 重要な役割を果たす「取引所」

沖田貴史 SBI大学院大学 特任教授

おきた・たかし 1977年石川県生まれ。98年一橋大学在学中に、サイバーキャッシュ株式会社(現ベリトランス株式会社)の立ち上げに参加。2005年から10年間、代表取締役を務め、香港上場やアジア展開を加速。2016年5月より、SBI Ripple Asia株式会社 代表取締役。主な公職に、金融審議会専門委員など。

9月29日に、金融庁から業界待望の発表がなされた。「仮想通貨交換業者」の新規登録一覧である。

「仮想通貨交換業者」とは、仮想通貨の売買を成立させ、仮想通貨の購入や売却を支援する事業者であり、一般には、「仮想通貨取引所」と呼ばれることが多い。

2017年4月に施行された改正資金決済法により、仮想通貨取引所は、利用者保護や本人確認(マネーロンダリング対策)など管理体制を確立した上で、登録が義務付けられ、登録事業者は金融庁のウェブサイトで公表されることになった。

同法の施行前から、仮想通貨交換業を行っていた約40社の既存事業者に対しては、6ヵ月の経過措置期間が存在していたが、改正施行後数ヵ月が経過しても、登録事業者は不在のままで、その期限が9月末に迫っていた。

改正施行後、新規参入を計画・発表する企業が相次いだため、金融庁としても、かなり慎重に審査を進めていたものと考えられるが、蓋をあけると、第一陣として新規参入2社を含む11社が登録され、19社が継続審査となっている。

継続審査中の既存事業者も、事業継続は可能であるが、既存事業者のうち、12社が登録を見送り、結果として取引所を閉鎖することになった。

とはいえ、今回の登録要件は、技術革新の芽を摘まないという視点もあり、1千万という最低資本金や、顧客の資産保護・テロ資金対策などに関する最低限のルール等を定めたものであり、証券会社等の登録要件と比較すると、比較的穏和なものである。これを満たせない取引所では、利用者が安心して取引を行うのは確かに厳しく、中長期での業界発展を考えると、欠かせないものであったと考えられる。

一方で、突如取引所が閉鎖されることになったのは、中国である。前号でも書いたが、9月に入り、中国ではICOが全面禁止となり、衝撃が走った。その衝撃がさめやらぬうちに、大手取引所が閉鎖されることになり、ビットコインをはじめとする仮想通貨関連事業者の多くは、さらなる混乱に陥った。

それに比べると日本における仮想通貨取引所への規制は、登録までに期間は長かったものの、法整備のプロセスや周知期間は穏当であり、利用者・事業者双方にとって、現実的な内容であると言えよう。また、新規参入が認められ、他の金融事業との兼業が認められたのも、顧客保護の観点でも、利便性の観点でも、利用者にとって望ましいことだと考えられる。

さて、ICOといえば、その重要な鍵を握るのは、仮想通貨取引所だと考えている。ICOについて、現在は新規発行そのものについての議論がされているが、二次流通市場が存在しなければ、トークンの売買益を享受することができず、クラウドファンディングと大差ない仕掛けとなる。そういった観点では、仮想通貨取引所は、まさに株式取引所と同じような上場通貨に関する審査能力が必要となる。

前月号と全く同じ締めくくりとなるが、関係者が使命感と倫理観をもち、健全性を高めながら、発達していくことを期待したい。

2017年12月号 目次

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