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2018年01月号

IR CLIP オイシックスドット大地

証券コード  東証マザーズ 3182

経営統合で顧客基盤や商品調達力を 強化~「安心」「安全」「時短」ニーズに 応える食品宅配会社

これからの季節、クリスマスや年末年始など、大きなイベントに伴うハレの食卓に彩られる。1年の中で最も「食べること」を楽しむ時季なのではないだろうか。

安全性が高い安心な食べ物をおいしくいただきたい。このような消費者のニーズに寄り添って事業を拡大しているのがオイシックスドット大地だ。「子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプトとし、有機・特別栽培の野菜類や添加物を極力使わない加工食品、下ごしらえを済ませてあり、そのまま料理に使える食材キットなどをオンラインサイト(https://www.oisix.com/)を中心に販売する。

2017年10月には、有機野菜販売の草分け「大地を守る会」と経営統合。双方のブランドは維持しつつ、ノウハウの共有による顧客開拓や商品調達ルートの拡大、配送の効率化などを進め、統合効果の最大化を目指すほか、新たな取り組みも始める。

自然食品宅配を大きな市場に

オイシックスドット大地は、30代前後の働く女性がいる世帯へのネットマーケティングに強いオイシックスと、カタログ中心で40代後半以降の世代を中心に顧客が多い大地を守る会が統合した。ブランドやサービス、商品開発はそれぞれが担うが、主力の販売手法が異なることから、双方のメリットを研究して新規の顧客開拓につなげるほか、客単価を上げる取り組みも期待できる。商品の配送やバックオフィス機能などは統合による効率化を追求する。

働く女性の増加や調理の時短ニーズの高まり、1世帯の人数減少などを背景に、1食分の料理素材セット「Kit Oisix」が人気だ。

「有機野菜の宅配は、どちらかというとまだニッチな市場だと考えています。しかし、安心安全な食品を扱う事業をニッチのままにしておきたくないという思いもまた、私たちは持っていました。そこで大地を守る会と一緒になり、マスなマーケットに変えていく目的で経営統合に至りました」(松本浩平・執行役員 総合企画本部本部長)

そもそも、オイシックスを創業した高島宏平社長が事業を始めるにあたり、業界の草分けである大地を守る会の藤田和芳代表(現・オイシックスドット大地会長)からアドバイスを得られる関係にあったという。今回、共にマーケットを拡大していく同志として、スムーズに統合が決まった。

ミールキット強化や海外事業も

統合後も注力していく商品の1つがミールキット「Kit Oisix」だ。5種類以上の野菜が摂取できる主食と副菜2品の材料がセットされ、20分で調理できる。共働き世帯や仕事を持つ女性の増加を背景として販売数量の増加が続く人気シリーズで、13年7月の発売以来、17年の9月末までに総出荷数が700万セットを突破した。最近では食材の安心安全と併せ調理の時短ニーズの高まりからも注目される商品で、製造工場の処理能力を2・5倍に引き上げる計画を検討するなど、拡大が続く。

「週替わりで20種類程の商品を投入しています。有名シェフとのコラボ商品を開発したり、『ちびキッズシリーズ』と言って、大人と小さい子どもの食事がセットになった商品の展開も始めました」(松本執行役員)

最近では、新婚で食通のタレント、渡部健さんが監修した「2人でつくるKit Oisix」を発売したほか、ニューヨーク発の〝食のセレクトショップ〟「ディーンアンドデルーカ」とコラボした商品のキットも展開する。

一方、海外事業では特に中国市場の開拓を本格化する。これまで、オイシックスが香港に向けて有機野菜類を輸出、大地を守る会が「北京冨平(フーピン)学校」との合弁会社で有機野菜の栽培指導をそれぞれ手掛けてきた。このほど、双方のノウハウを生かし上海に現地法人を設立し、現地栽培の安心安全な野菜を個別宅配する。

「現地では、『早くサービスを始めてほしい』という声が多いですね。しかも富裕層ばかりではなく、一般の家庭でも安心安全な食材へのニーズが確実に高まっていると感じますね」(松本執行役員)

現地の小売店では、地元産の野菜と一緒に野菜用の洗剤が陳列されているという。そのことから、日本企業による日本品質の商品は引き合いが強い。まずは野菜の配達から始め、追って加工食品も扱う計画だ。

さらに新機軸の事業として、移動スーパーを手掛ける「とくし丸」(徳島市、住友達也社長)を子会社化した。販売パートナーである個人事業主がとくし丸と提携するスーパーと契約。商品を販売車に積み込み、一定ルートの商圏を回りながら販売する。

「地方でのスーパー撤退などで注目される分野で、プレーヤーも増加中です。中でもとくし丸は、自治体からの補助金に頼らずビジネスとして確立した唯一の事業体だと考えています」(大熊拓夢・広報室室長)

これらの施策を通じ、22年度には1000億円の売上を目指していく。

安心安全な食材の供給や買い物機会の提供を通じ、食べる歓びも創造していく。

2018年01月号 目次

試し読み
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