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2018年02月号

2018年も続くか?ビットコイン狂騒曲

沖田貴史 SBI大学院大学 特任教授

おきた・たかし 1977年石川県生まれ。98年一橋大学在学中に、サイバーキャッシュ株式会社(現ベリトランス株式会社)の立ち上げに参加。2005年から10年間、代表取締役を務め、香港上場やアジア展開を加速。2016年5月より、SBI Ripple Asia株式会社 代表取締役。主な公職に、金融審議会専門委員など。

年末にかけて、乱高下を繰り返しながら、暴騰を続けていたビットコイン相場だが、11月26日に、ついに1BTCあたり100万円の壁を突破した。そして、そこから2週間も経たずに200万円に倍増し、急ピッチでの上昇が続いている。

2017年初は、10万円程度であったことを考えると、1年で20倍という相場上昇である。それだけでも凄いが、9月までは最高値が約50万円だったことを考えると、10月以降の急騰ぶりは目を見張るものがある。

値上がりの要因は様々だが、日本においては、10月1日に取引所登録制度が施行され、投資家保護環境が整備・透明化されたことで、日本の個人投資家が安心して、仮想通貨を買える環境が整ったことも1つの理由とあげられるだろう。

しかしながら、10月以降の高騰の背景としては、「乱発するハードフォーク」や「先物上場」への期待等の投機的要因が大きいように思う。

「ハードフォーク」については、17年8月に技術的対立からビットコインキャッシュが生まれたが、当初の予想に比べ、価格が高止まりする中で、技術的には分岐とも呼べないハードフォークも相次いでおり、12月だけで5つのハードフォークが計画されている。ハードフォークが行われると、その時点での持ち分に応じて、新たなコインが自動的に受け取れる。それを見込んだ買いが膨らみ、値上がりが続いていると考えられる。

そこに加えて、12月には、北米最大のデリバティブ市場であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)等が、ビットコイン先物を上場することになった。これまで、機関投資家にとっては、ビットコインの現物を管理することが難しく、ビットコイン取引は個人投資家が主体だったが、機関投資家からの資金も流入してくるのではないかと期待されている。

このような期待で価格が上昇している一方で、ビットコインの本来的な機能である「送金」については、その実用性が失われつつある。

ビットコインの決済の特徴については、「早い」「安い」というイメージを持っている方が多いと思う。しかし、処理時間については、1ブロックの生成に約10分かかる仕様であることに加え、取引量の増加に伴い、1時間以上かかることが多いというのが現状であり、決して速いとは言えない。送金コストについては、取引の混雑具合や取引所等にも依るが、仮に200万円の水準だと、日本の取引所の場合は、1000円程度必要となるケースが多い。

2〜4日掛かり、数千円のコストが発生する国際送金であればまだしも、国内送金であれば、既存インフラに対して、競争力を持ち得ない。

強制通用力がある法定通貨と比べ、決済(価値の交換手段)が容易であることがビットコインの原点である。それ以外の価値を見出していかないと、ファンダメンタルズ的には、現在の価値は正当化されない。

バブルかどうかは弾けてみなければわからない。2018年は、それが問われている。

2018年02月号 目次

試し読み
段階的に進むキャッシュレス社会 デビットカードも順次浸透する
中東の砂漠を緑に変える 日本の技術が生んだフィルム農法
眼科医療の常識を変える 見えないものを見るレーザー
ホワイトカラーの業務に革命 RPAが導く仕事の生産性の向上
「会社から企業へ」がコンセプト 社員個々人が富を生む組織に
IR CLIP 一家ダイニングプロジェクト
2018年も続くか?ビットコイン狂騒曲