有料購読サービス終了のお知らせ

BOSS ONLINE

2018年06月号

すべての女性が いきいきと働くために 派遣業ができること

中島由美子 トレジャーリンク社長

なかじま・ゆみこ 1962年2月22日生まれ。東京都出身。82年株式会社ゆうせん入社。映像制作会社、システム開発会社と異業種転職し、フリーランスエンジニアに。掛け持ちアルバイト歴20業種以上。15年間のエンジニア生活に終止符を打ち、営業職に転向。2004年に独立創業、現在に至る。事業ドメインは「人、イキイキ活性業」、ミッションは「心豊かな世界を創造する」。

── トレジャーリンクではどのような事業を展開されているのですか。

まず、フリーランスのSEを対象とした人材派遣事業を行っています。自社運営サイトの「ITトレジャー」を通じて案件紹介を行い、変動はありますが50人程度を派遣しています。こちらが当社の売上の9割以上を占めている事業の柱となっております。

 そして、飲食店事業。現在は豊島区大塚にライブスペースを備えたレストランを持っています。ライブスペースというと、一般的には防音などの問題もあって地下につくることが多いのですが、当店はガラス張りの路面店で、オープンな空間を提案しています。

 さらに、本社オフィス内に30席の小規模なレンタルスペースを設けています。中央区京橋という立地の利便性から、セミナーや企業の部内会議などでご利用いただいております。

── 起業の経緯についてお聞かせ下さい。

 私は確固とした覚悟を持って実業の世界に入ったわけではなくて、人とのご縁や巡り合わせのなかで、今も経営を続けているというところなんです。

もともと、私は学生時代から音楽業界を志望し、現在のUSENに入社したのですが、なかなか希望の職種に配属されずに3年ほどで退社、その後は20種以上のアルバイトを転々としました。そのなかで、ある飲食店のお客様だった電算機系の企業の方に「性格的に向いている」と、システム開発会社を紹介していただいたことがきっかけでキーパンチャーとして現在の業界に入ったのです。プログラミングはまったく未経験だったのですが、働きはじめてみると意外にも構造やシステムに自分が好奇心を刺激されるのがわかりました。当時はインターネットがまだ普及しておらず、帳票登録システムや管理システムのような業務アプリを開発していました。バブル期ということもあり受注が絶えず、長時間労働の連続。入社3年ほど経ち、プロジェクトリーダーに昇進した頃、過労から体調を崩し半年ほど入院しました。

退院後、フリーのSEとして現場復帰し10年ほど働きました。その間、私に仕事を斡旋していただいていた担当営業の方が独立することになり、そのタイミングで、SEに案件を紹介する派遣会社の立ち上げに加わりました。2000年頃だったと思います。今度はエンジニアからエージェントに転身したわけですが、はじめてIT業界に入り、フリーになる前から合計して15年あまりのSEとしての時間が、営業に非常に役立ったと実感しています。少人数の会社でしたが時代の流れも幸いして約3年で売上げも10億円程度にまで成長させることができました。その実績と経験を生かして、04年に独立起業したのがトレジャーリンクです。

その後の展開に関しては、08年に自社運営サイトの「ITトレジャー」を開始し、同年にレストラン「All in Fun」を開店しました。大塚の商店街によく立ち寄っていたバーがあり、そこの経営者の方とも懇意にしていたので、そのコミュニティに自分も混ぜていただいたという形です。思わぬご縁で、学生時代に志望していた音楽に携わる仕事ができています。

現在のオフィスへは、10年に「基金訓練」(リーマンショック後の経済危機に対処した、政府による緊急人材育成支援事業。09~11年まで実施)の施設としての利用を前提に移転してきました。PC操作を職業訓練として実施し、施策終了後は現在までその教室をレンタルしています。

女性のためのコミュニティ創出

── 「女性活躍社会」と言われていますが、御社でも女性の方の比率が多いようですね。

社員全体の9割が女性です。そうした環境だと、社内で女性の生き方や自己表現について話し合いますし、その中から事業のインスピレーションを得ることもあります。結婚や出産など、女性の働き方に変化をもたらす転機に共感できることはエージェントとしても強みになっています。

── 今後の事業展望については。

 さきほどの話と関連しますが、コミュニティを創り育てる事業を展開したいと考えています。なかでも注力していきたいのは、女性に開かれた交流の場をつくることです。ビジネスも含めさまざまな年代や立場の女性と交流していると、結婚や出産だけでなく離婚や夫との死別などの生き方のなかで、女性同士で経験を分かち合いたい、それも女性だけで「芸者遊び」をしてみたいとか、パワフルで多様な需要があります。私自身もそうした個別化したニーズを愉しみながらビジネスを展開していきたい。

 ひとつは、都心部での飲食店事業の拡大です。女性が立ち寄ることができるような小規模なレストランやバーをつくり、それは地域に根差していて、ラフで、交流ができる。私自身も時にはカウンターで接客をするとか、そういった場所を山手線の駅にひとつずつ開店できたらというようなイメージを持っています。

 もうひとつは地方での事業展開で、女性を中心としたコミューンなんです。コレクティブハウスのような試みとも似ていますが、たとえば単身の高齢者が共同生活を行える広い施設を、都会化されていない場所につくりたい。介護にはまだ多くの問題がありますが、これからはただ介助されるというかたちではなく、高齢者が相互に力づけあって生きるような共同体が必要になると考えていますし、クラウドファンディングやシェアサービスなど、知恵と資産を分け合える仕組みが進んでいる時代だからこそ、それが可能だと思っています。

2018年06月号 目次

試し読み
時代は人材活用へ 人事を変えるHRテック
リーダー育成にもテクノロジー 人材開発の可能性を探る
すべての女性が いきいきと働くために 派遣業ができること
IR CLIP: ロードスターキャピタル
証券業界との連動により期待される 仮想通貨事業者の健全化