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2018年06月号

IR CLIP: ロードスターキャピタル

(証券コード 東証マザーズ 3482)

不動産の目利きが多数在籍~ 確かな評価・運用とITを通じて 不動産市場の活性化に貢献

2018年3月、東京都千代田区に複合ビル「東京ミッドタウン日比谷」が開業した。ほかにも、渋谷や東京駅周辺の八重洲など、東京都内は20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催をにらみ、再開発のビッグプロジェクトに沸く。一方、中小規模のオフィスビルも、事業所の段階的な増床の動きや起業によるニーズなどから、足元の動きは堅調だ。とはいえ、築年の経ったビルやデジタル非対応のビルはテナント付けが難しい傾向にあったり、市場で適切に評価されていないビルもあったりする。

 そこで、課題を抱えるオフィスビルを取得し、リニューアルなどを施すことでバリューアップを実現しているのがロードスターキャピタルだ。不動産鑑定士などの「目利き」が多数在籍しているほか、AIなどのテクノロジーも積極的に用いて、自己資金で物件に投資する事業(コーポレートファンディング事業)を展開する。そのノウハウを用いた個人向けの不動産投資(クラウドファンディング事業)にも注力する。

物件の価値を正しく目利きできる強みを持つ。

正当な価値を算定

ロードスターキャピタルの主力事業はコーポレートファンディング事業だ。不動産のプロが見て、リニューアルなどを施すことで価値の向上が見込めるビル等を取得し、各種の施策などをワンストップで実施。その後、他者へ売却したり自社で貸し出したりする。B2Bのビジネスだ。ターゲットは、〝東京23区内に立地する、数億円から30億円程度の中規模ビル〟で主に築20年以上が1つの目安だ。都内には少なくとも数万棟の物件があるとされる。その中でビルそのもののスペック、駅からの距離や現在入居しているテナントなどの有形、無形の資産を不動産のプロが目利きをするほか、過去の取引データなどから構成した独自の価値査定システム「AI–Checker」も用いて査定。取得を判定する。売買情報が多く集まる中で投資判断に役立てることができる点は大きな強みだ。

「築20年を超えるビルはオーナーにとってメンテナンスの手間が増えます。ところが、どこをどの程度修繕すべきか決めかねているオーナーや、費用の問題を抱えているオーナーもいます。ですので、その頃に物件を手放したいというニーズは一定数存在するのです」(岩野達志・代表取締役社長)

17年12月期は23区内のオフィスを中心に8物件購入したほか、期末時点で14物件を賃貸で運営する。帳簿価格上は約160億円で、前期比36億円、29%増加した。

「18年度も不動産の取得は順調に進んでいるほか、売却も予算に近い水準で進捗しています。今は不動産のマーケットが活況で良い物件を購入しづらい、という声も聞こえてきます。しかし、私たちはこれまでの経験で築いた不動産会社などとの信頼感を背景に順調に推移しており、事業としても高い安定感があります」(岩野社長)

 最近では、不動産の相続に直面したことをきっかけに譲渡を考えるケースも顕在化しており、ニーズの広がりも見られる。

個人向けに新商品

 一方、クラウドファンディング事業にも注力している。B2Cにあたる。ロードスターキャピタルでは、「OwnersBook」(オーナーズブック、https://www.ownersbook.jp/)のブランドでクラウドファンディングのプラットフォームを展開し、会員が1万6千人を超えた。現在投資可能なのは「貸付型」で、出資された資金をロードスターキャピタルの子会社であるロードスターファンディングが束ね、不動産開発を行う会社などに貸し付ける。

「10万円を投資したとすると、償還期限までにその10万円+利息が投資家に戻ります。投資後は運用の手間がかからず、定期預金に近い商品です」(岩野社長)

 1万円から投資できる手軽さも人気。最近は募集開始後すぐに満額完了することが続いており、「投資したいのにできない」という声も。だが、商品の乱発はしない。あくまで安全性、将来性がある案件を厳選した上での組成を貫く。

 また、「エクイティ投資型」と呼ばれる商品の提供も計画する。特定された物件1棟、もしくは区分の購入に対して投資する。その物件の売却をもって利回りが確定する。貸付型よりハイリスクハイリターンだが、物件が分かるので愛着が湧き、投資者有志により物件や立地する地域の活性化への取り組みが期待できるなど、斬新な商品だ。取引に必要な許認可登録は既に完了しており、今後サービスを開始する見通しだ。

「これまでの経験で得た目利き、付加価値の加え方などのノウハウを活かした案件を個人の皆様にも提供し、不動産投資をもっと開かれたものにしたいです」(岩野社長)

 難解でプロ向けの印象がある不動産と金融を融合した取引を、確かな「人の目」とテクノロジーをバックに、個人に対しそのハードルを劇的に下げようとしている。

2018年06月号 目次

試し読み
時代は人材活用へ 人事を変えるHRテック
リーダー育成にもテクノロジー 人材開発の可能性を探る
すべての女性が いきいきと働くために 派遣業ができること
IR CLIP: ロードスターキャピタル
証券業界との連動により期待される 仮想通貨事業者の健全化