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2018年08月号

IR CLIP 大成温調

証券コード 東証ジャスダック 1904

顧客・従業員・提携会社から選ばれ続ける~ バージョンアップを進める設備工事のプロフェッショナル企業

東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせた都市インフラの再構築や、増加基調が続く訪日外国人観光客を収容するホテルの新設ラッシュなどを背景に、活況の中にある建設業界。好調な業績が続く一方で、一般的に根付く重労働のイメージから人手不足感が強い。案件はあるのに受けられないケースもあるようだ。意欲的なワーカーを集めるために、個々の会社の魅力を高め続けることが業界の発展に必須だ。

この課題に積極的に取り組み、会社の“バージョンアップ”真っ最中なのが大成温調だ。空調、給排水衛生、電気設備の設計や工事などが主力の有力企業で、首都圏を中心とする建設ニーズ増大の波に乗り、業績は好調である。その一方で、新・中期経営計画である「大成温調@Version UP計画」を発表、今年度から取り組みをスタートさせた。

冷凍機器製造を主力としていた戦後間もなくから、共に歩んできた「ぺんぎん」のキャラクターを現代風にした「TOPくん」

これまでの中計は確かな成果

大成温調では、直近だと2012年度から各々3年ごとの中期経営計画(中計)を策定している。特に17年度(18年3月期)が最終年度だった第二次中計では主に3つの重点施策を推進してきた。

まず、「質の重視」では過度な売上至上主義やスケールメリットの追求より採算性の重視を徹底。人件費効率をKPI(重要業績評価指標)化し、より少ない労務投入で付加価値の高い成果を得られるよう、従業員1人あたりの生産性向上も進めた。

「脱・自前主義」では、事務など業務の一部を委託する会社の設立や、工事の協力会社の拡充など、外部資源の有効活用にシフト。海外展開も、今後は直営方式から現地有力企業への一部出資に見直す。

さらに、「選択と集中」の一環で、海外拠点のインド・フィリピン、グアムから撤退したほか、組織の大幅集約によって、全社人員配置の最適化に努めた。

「この3ヵ年で進めてきた、『質の重視』では、採算の取れる案件を見極めることで、適正な利益の確保に結びつきました。『脱・自前主義』では、外注依存度は増えましたが、全てを自分たちで手掛ける以上に収益力が高い体質に強化されてきています。『選択と集中』は、採算が厳しかった海外の最適化と合わせ、今年春に新たに東京本店を新設。人的なリソースを活況の首都圏に手厚く配属しました。中計を通じて目指した営業利益20億円は2年目に達成し、最終的には25億円超で着地しています」(水谷憲一・代表取締役社長)

中計の集大成

今年度からスタートの新・中計である大成温調@Version UP計画は、これまでの集大成で、「企業価値の増大」と「社会への還元」の2つの将来像を掲げる。

「『企業価値の増大』の指標として、時価総額を250億円とする目標を掲げました。これは、投資家への具体的メッセージになると考えています。また、『社会への還元』に関しては、従業員1人あたりの処遇を対17年度比で10%上げます。こちらは、社内的に会社が目指していく方向性を明らかにしたものです。これを両立していきます」(水谷社長)

処遇では、総人件費の上昇を前提としていない。国内労働力人口の減少を鑑み、従業員数の段階的な減少を想定。その上で各従業員が10%生産性を上げ、それに伴い所得の分配も増やすという考え方だ。

また、これらの将来像を実現するため、「競争力の向上」「生産性の向上」「企業価値の向上」の3つの重点課題を設定。建設需要の変化やコスト競争の激化など激変する外部環境への対応と、生産力、技術力の強化へ向けた内部環境のさらなる充実を図る。

各々の主な施策を見ると、まず「競争力の向上」では、「お客様第一」の社是のもと顧客とのパイプを強化。幅広いサービスをきめ細かく提供するほか技術開発も進め、顧客への訴求力を高めて、エンドユーザーのニーズを発掘しやすい、設備などのリニューアル案件の営業を強化する。

「生産性の向上」は、10%の処遇アップと併せ、従業員のマネジメントシステムを導入するため、外部の専門業者とシステムの構築を急ぐ。また、大成温調としては初となる3ヵ年で50億円の戦略的な投資枠を設け、ICT、IоTへの投資や、国内外での提携企業発掘、出資などに充てる。資本効率のアップと労働力の減少に対応する。

「企業価値の向上」は、IR、PRの強化などを通じて認知度や企業ブランドを強固に定着させる。将来において、上場市場のステップアップも視野に入れている。

これらの施策で、20年度(21年3月期)は連結売上高が600億円、連結営業利益は30億円、ROE(株主資本利益率)は恒常的に8%以上を目指す。バージョンアップの実現で、この先も顧客、従業員、提携会社の各ステークホルダーから選ばれ続ける魅力あふれる会社へと成長させる。

2018年08月号 目次

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