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2018年08月号

ブロックチェーンとビットコインの アンバンドリング

沖田貴史 SBI大学院大学 特任教授

おきた・たかし 1977年石川県生まれ。98年一橋大学在学中に、サイバーキャッシュ株式会社(現ベリトランス株式会社)の立ち上げに参加。2005年から10年間、代表取締役を務め、香港上場やアジア展開を加速。2016年5月より、SBI Ripple Asia株式会社 代表取締役。主な公職に、金融審議会専門委員など。

この数週間、大学院での講義や学会に加え、各種セミナーにおいて、ブロックチェーンに関する講演を行わせていただく機会が続いた。

コインチェック事件などもあり、テレビ等でも「仮想通貨」と並んで「ブロックチェーン」という言葉が取り上げられる機会が増え、認知度が格段に増したからであろう。これまでは、専門家や金融関係者と議論する機会が多かったが、様々な分野・産業からの関心を実感している。

ブロックチェーンという言葉が市民権を得るとともに、金融以外の分野での活用が進むことは非常に良いことであると考える。しかしながら、毎回、講演を通じて感じるのは、ブロックチェーンに関する正しい理解は、未だ途上であるということである。

ブロックチェーンの正しい理解が進みづらい背景としては、これまでにない新たな概念であるということに加え、技術・専門用語が多いことも1つの要因であろう。

ただし、セミナー参加者とのディスカッションなどを通じて感じるのは、ブロックチェーンの起源であり、その活用の代表例でもある「ビットコイン」のインパクトが強烈すぎるため、そのイメージを払拭することが難しいことも大きい気がする。

例えば、一般にブロックチェーンは、処理に時間が掛かりやすいと言われる。これは、分散して管理する台帳のコンセンサスを取る必要があるためであり、「独裁」に比べ「合議制」では、合意形成に時間が掛かりやすいことをイメージすると分かりやすい。

ビットコインの場合は、この合意形成に、PoW(いわゆるマイニング)という手法をとっていることは、よく知られている。PoWは利点も多い一方で、多大な資源(主に、電力消費)を必要とするという批判も多い。

また、ビットコインというと、「処理に10分掛かる」というイメージが先行しているが、「ブロックの生成に、約10分の時間が掛かるよう設計されている」という方が厳密だ。また、5月中旬にモナコインにおいて発生したセルフィッシュマイニングという攻撃手法を回避するためには、ブロックが6つほど連なるまで待つべきだと言われており、実際には1時間程度の処理時間を見ておく必要がある。

ただし、PoW以外にも、合意形成手法は存在し、電力消費が少なく、より早く(早いものでは数秒で)決済が完了するものも存在する。現在、ビットコインに次ぐ規模を誇るイーサリアムは、脱PoW の動きが進んでいる。

また、仮想通貨(トークン)とブロックチェーンは不可分なものと考えている方も多いが、分散台帳技術(DLT)ではトークンを持たない技術も多い。

上記は、エンタープライズ分野でDLT活用を検討している方にとっては、常識と言える。とはいえ専門家ですら、時に議論が先祖返りする。

それだけ、ビットコインは偉大と言うことだが思想や好みの如何にかかわらず、ビットコインを超えて(beyond Blockchain)理解・発展していかないと、分散台帳技術の本格的な活用には結びつかない。アンバンドリングが求められている。

2018年08月号 目次

試し読み
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ブロックチェーンとビットコインの アンバンドリング
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