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2018年10月号

IR CLIP ОDKソリューションズ

証券コード 東証ジャスダック 3839

大学入試アウトソーシングで 大きなシェア~ かつてのグループ依存から脱却し 成長軌道に

東京五輪・パラリンピックに話題が集中しているが、実は2020年に「教育改革」が予定されている。まだ未確定な面が残るものの、大学の入学試験に関しては大がかりな改革が行われる。それまでの「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」に変更。一部の科目で記述式の問題が導入されるなど、思考力や表現力を問う内容の試験が登場する。さらに、高校での成績や課外活動の履歴も重視されるようになる。ただ、この改革で入試実務はより煩雑になるとみられ、大学の負担が増す。

 この大学入試実務のアウトソーシング先として半世紀以上の実績を持つのがОDKソリューションズだ。入学願書の受付から受験票の発送、試験で使われたマークシートの採点、合否判定や入学手続き、入試統計資料の作成までトータルに支援。さらに、増加するWeb出願に関するシステムやソリューションも提供する。

 この「教育関連サービス」を主力に、祖業の「証券関連サービス」、医療現場のIT化に貢献する「医療関連サービス」を3本柱とし、企業の人事領域のIT化である「HRテック」など、新たな柱も育成中だ。

受験ポータルサイト「UCARO」(ウカロ)は、20万人のユーザーと44大学が参画。さらに拡大が続く。

証券取引所再編の衝撃

 ОDKソリューションズが前身の「大阪電子計算」として設立されたのが1963年。IT企業としては相当な老舗だ。「大阪証券取引所」(大証)、「大阪証券金融」(大証金)などが設立母体の「大阪証券代行」の計算部門が分離独立した。この経緯から、「北浜」における証券金融分野を中心に担ってきた。その後、2010年に発表された大証と東京証券取引所の統合によってこれらのグループ会社も再編。グループ内での仕事が剥落する中、ОDKソリューションズは独自の道を歩む選択をする。

「私たちには『独自に事業展開できる』との判断に至った根拠となる『強い領域』がありました。それが、現在の教育関連サービスです。設立の翌年に大学のファーストユーザーを獲得しました」(勝根秀和・代表取締役 専務取締役)

 受験生から大量に届く願書の情報などを効率的に処理するには大型コンピューターが必要だが、それを関西圏で持っていたのは大阪電子計算のほか、数社しかなかった。その中で、当時から機密性の高い大量データ処理に強みを持っていた大阪電子計算に処理を委託したというわけだ。さらには、堅牢なセキュリティ体制も味方した。

「実は当時の大学において一般的に入試は〝聖域〟で、外部に仕事を委託する対象ではありませんでしたが、聖域を打ち破り、いち早くODKに委託した大学があったのです。そこの口コミから顧客が増え、業務の基盤を築いていくことができました。同時に、私たちも受託する業務の範囲を徐々に広げ、ノウハウを蓄積しながら成長することができたのです」(勝根代表取締役)

 現在、入試に関わる業務をワンストップで受託。全国の私立大学の延べ志願者(350万人)の約1/3にあたる100万人超の情報を処理する。入試アウトソーシングサービスの中でも、Web出願システムは現在100校弱が導入する。

 さらに、教育改革を見据え、共通プラットフォームを目指す受験ポータルサイト「UCARO」(ウカロ)をリリースし、16年よりサービスを開始した。大学選びから出願、合格発表、入学手続きにいたるプロセスを大学間で共通化し、ウカロ上で完結。大学の入試業務を効率化しコストを削減するほか、受験生にとっても一度個人情報を入力するだけで複数の大学に同情報を使用し出願できるなど、利便性が増す。現在、約20万人のユーザーと44大学の参画があるが急ピッチで拡大しており、さらなる成長を牽引する主力サービスとなっている。

医療など新たな柱も成長へ

 一方、証券関連サービスは、証券会社に代わり投資家情報の管理から決済までの証券取引データの処理を行う「SENS21」、不公正売買を監視する「Watch21」、証券保管振替機構と取り次ぐ「ほふり接続システム」を中心に、証券会社を支えるシステム提供を強化する。

 また、臨床検査受託を展開するファルコホールディングスと業務・資本提携。臨床検査システムの運用業務を開始したほか、クラウド型電子カルテシステムの開発業務や、地域医療機関への導入支援も強化していくなど、医療関連サービスも拡大する。

 これらに続く第4の柱として、AIソリューションやカスタマーサービスのほか、HRテックなどの領域でも新規事業の創出を進める。既にZendeskや日本IBM、タレンタとのアライアンスもスタート。新サービスの開発とともに、既存サービスとのシナジーも期待したいところだ。

証券取引所再編に伴う危機をバネに、バランス重視の事業ポートフォリオと、新規サービスを通じ次のステージを目指す。

2018年10月号 目次

試し読み
あらゆる環境で気軽に楽しむ ウォークマンが広げる音の感動
ブロックチェーンで目指す 「あたらしい経済のかたち」
日中を股にかける 「ブッ跳び主婦」の半生
IR CLIP ОDKソリューションズ
日本でも相次ぐ新規参入 QRコードスマホ決済サービス
世代を超えて扱いやすい商品へ 続くパッケージの進化