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2019年01月号

IR CLIP グレイステクノロジー

(証券コード 東証1部 6541)

見れる、読める、さらに誘導するマニュアルへ~国内唯一のBtoB産業機械向け マニュアルコンテンツ制作企業

テレビ、パソコンなどの初期設定や、突然動かなくなってしまったという突発トラブルへの対応、会社での新人トレーニング、業務フローの確認など、普段の生活でマニュアルに頼る機会は少なくない。正しい対応法が網羅されており、心強いお守りだ。

 これら私たちの生活シーン以外でも、例えば自動車の整備、発電プラントのエンジンや半導体製造設備のメンテナンスなど、B2Bの産業機械にも各種マニュアルがある。このいわば「プロ向け」マニュアルのコンサルティングや制作を手掛ける国内唯一の企業がグレイステクノロジーだ。実際の制作はファブレス形式で行われ、企画や進捗管理以外は外部の専門家と協働する。 

重厚長大産業における大手メーカーが主な顧客。内容が適切にモジュール化され、メーカーのメンテナンス担当者や機械納入先の作業員が見て読んで理解できるマニュアルをつくる。AI(人工知能)を活用した「誘導型マニュアル」の開発も進捗中だ。

自動車整備のマニュアルは、3万ページにのぼるものもある(写真はイメージです)。

日本のマニュアルは「ジョーク」

 産業機械のマニュアルの多くは、メーカーの技術開発担当者が執筆する。専門の担当者による内製は合理的だが、消費者向けのものとは違い分かりやすさに難がある。

「メーカーは、『開発した人が一番良く分かっている』という発想です。確かにそうなのでしょうが、完成したマニュアルは分かりづらい。そもそも技術開発の担当者はもの書きのプロではなく、むしろ苦手意識を持つ人のほうが多いほどです。さらに、メーカーの社内にはマニュアルの制作を統括する部署もありません。これまでメーカーはマニュアルを、ユーザーに『読んで』『理解してもらう』ためのコミュニケーションツールとして活用してこなかったのです」(松村幸治・代表取締役)

 実際にメーカーがつくるマニュアルの分かりづらさは〝折り紙付き〟で、米ニューヨーク・タイムズ紙から「日本のマニュアルはジョークだ」と酷評されたケースもあるようだ。苦手な人がマニュアルを執筆すると、言葉づかいなどでおかしな部分が出る。制作を統括する部署がないので、用語や表現も書く人によってまちまち。それがそのまま翻訳されると、「ジョーク」な仕上がりに。製品は一流の品質を誇りながら、マニュアルの完成度が低いのは、国内外で大きなイメージダウンだ。

 そこで、グレイステクノロジーでは、分かりやすいマニュアルの制作を働きかける。

「制作にあたり〝整理整頓〟を行います。これは制作のルールも同時につくるということです。フォーム、文字の大きさ、書体、レイアウト、用語や表記など、全てを顧客と相談し統一します。だから分かりやすい。ルールができると、改訂版なども、同じ体裁を保てます」(松村代表)

 実際の作業は、目次の構成から始める。製品の詳細やメンテナンスの流れなどをステージや項目ごとにモジュール化して説明する流れで、それぞれに何ページを割くかの骨格を固めていく。その後、主に技術開発経験を持つライターによるヒアリングなども交え、肉付け。写真や図面、イラストなども盛り込んでいく。モデルスケジュールでは、500ページ程度の場合、1ヵ月で完成する。その後は紙への印刷やタブレット端末での活用など、様々なアウトプットも可能だ。海外向けに翻訳もできる。一度しっかりとしたものをつくると、製品のアップデートやシリーズ製品の展開があっても該当するモジュールだけを修正すればよい。7~8割は再活用できるといい、制作費用の大幅削減が可能だ。

 現在、産業界全体で設備更新に伴うニーズが活発なほか、東京五輪・パラリンピックをにらみ、建設機械や工作機械のメーカーを中心に引き合いが非常に強い。

一方、まだ内製に頼るメーカーが圧倒的に多いとみて、新規の開拓を急ぐ。

マニュアルの進化

 グレイステクノロジーでは、マニュアルの進化にも対応する。タブレット端末で見られるマニュアルには、動画が併用できる。印刷物では「ゆっくり回す」などの抽象的な言葉でしかできない説明も、動画だと回すスピードも表現でき、理解度が高まった。

 さらに、AIを活用した「誘導型マニュアル」の開発も急ぐ。AIを搭載した専用メガネにAR(拡張現実)を表示し、機械の操作方法や修理手順などをナビゲーション(誘導)してくれるものを想定。マニュアル本来の目的である「製品の正常な稼働」への手順を的確にサポートする。

「AIに関しては特許も取得しました。相当先進的な技術のようで、顧客にサービスの構想をお話しすると『実現にはまだ時間がかかるものと考えていた』と言われます」(松村代表) 

 新たな展開への期待は高い。「説明書」だったマニュアルが、活用するためのコンテンツへ。その進化の旗を振っている。

2019年01月号 目次

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